税務お役立ち情報

毎月発行の税務お役立ち情報を一部公開しています。
税務お役立ち情報をご希望の方は、切手1200円分(1年間)を送って頂ければ送付いたします。

2017年11月号 配偶者特別控除について
2017年10月号 決算の時に特に注意すべき項目:税務調査の目から
2017年9月号 節税の考え方
2017年8月号 節税の考え方
2017年7月号 関係会社同士で取引をする際の経理上の注意点
2017年6月号 29年度税制改正について
2017年5月号 29年度税制改正について 
2017年4月号 29年度税制改正について
2017年3月号 29年度税制改正案について
2017年2月号 29年度税制改正案について
2016年12月号 損益通算について
2016年11月号 マイナンバーの対応は進んでいますか・【中小企業向けの固定資産税の軽減特例】について 
2016年10月号 企業格付けのこと
2016年9月号 
2016年8月号 「中小企業等経営強化法」の制定で企業はますます未来志向経営計画が求められる
2016年7月号 生産性工場設備にかかる固定資産税の軽減措置について
2016年6月号  源泉徴収について
2016年5月号 M&Aにまつわる話:主に税務について
2016年4月号 M&Aにまつわる話
2016年3月号 決算の時に注意すべき事
2016年2月号 平成28年度税制改正大綱の概要:主に法人税関係をまとめました。
2015年12月号 マイナンバーについて
2015年11月号 福利厚生費か給与か?
2015年10月号 帳簿書類の保存の期間について
2015年9月号 修繕費として損金(経費)にできるか、資産計上して減価償却すべきか?
2015年8月号 相続ってなんだろう
2015年7月号 今回はふるさと納税について解説します
2015年6月号 マイナンバーがもうすぐ導入されます
2015年5月号 役員への報酬の税務上の注意点
2015年4月号 相続税に備え生前贈与を上手に活用しましょう
2015年3月号 平成27年度税制改正大綱 特に関連ある項目について
2015年2月号 平成27年度税制改正大綱の概要:主な内容をまとめました。

平成29年11月 配偶者特別控除について

【知って欲しい大切な情報】

○配偶者特別控除について
■配偶者の年収が103万円超でも受けられる控除がある
 配偶者控除は合計所得金額38万円以下(給与の年収だけだと103万円以下ですが、給与の他に個人事業などから所得を得ている方はそれも含む)が対象になります。しかし控除対象配偶者から外れてしまうと、途端に税務上全く控除が受けられないかというと、そんなことはありません。

■配偶者特別控除とは? 適用されない場合とは?
 配偶者特別控除とは、合計所得金額38万円を超えてしまうと配偶者控除は受けられないことで、途端に税の負担緩和措置がなくなることに配慮したものです。合計所得金額が38万円を超えても76万円未満(給与だと141万円)の場合には、段階的に税の緩和措置が受けられる制度です。

 ただし、配偶者控除と異なるのは、所得者本人(申告する人)の合計所得金額が1000万円を超えていると適用できません。給与の年収でいうと所得者本人(妻が専業主婦の場合は主に夫)の年収が1220万円を超えているときは適用できません。

■配偶者控除や青色事業専従者給与と二重適用できない
 配偶者特別控除適用の注意点のひとつめは、配偶者控除との二重適用ができないことです。配偶者特別控除の対象者は、合計所得金額38万円超76万円未満、配偶者控除の対象者は合計所得金額38万円以下です。したがって、適用を受けられる所得金額要件が相違するので二重適用は受けられません。

 年末調整では、配偶者控除の対象者である場合は「扶養控除等(異動)申告書」の控除対象配偶者の欄に氏名・生年月日を記載し、該当しなければ、「給与所得者の配偶者特別控除申告書」に記載する者に該当しないかどうかを検討しましょう。

青色事業専従者として所得者本人から青色事業専従者給与を受けている場合や、白色事業専従者の対象となっている場合には、配偶者控除と配偶者特別控除の適用はできないこととなっています。

■29年税制改正で配偶者特別控除が拡大します
 なお、既にお知らせしたように29年税制改正で配偶者特別控除を含めると38万円の控除が受けられる配偶者の対象が、給与の年収基準で103万円から150万円に引き上げられることとされています。
 ただし、下記の2点についてご注意ください。
 ①配偶者控除は拡大されていません
 配偶者控除の範囲は年収103万円まで、配偶者本人の年齢が70歳以上の場合に受けられる老人加算の範囲も変更はされていません。「配偶者控除は拡大」されていない、つまり、所得者本人の所得が900万円以下の場合、現行税制のままです。

 ②平成30年の年末調整から適用
 この税制改正は平成30年の所得税および平成31年の住民税から実施されます。つまり、平成29年の年末調整、および平成30年3月期の確定申告においては従来の税制のままです。

 「妻の年収が141万円を超えても配偶者特別控除が受けられる」という税制は平成30年の所得税および平成31年の住民税からです。来年の年末調整からですので注意しましょう。

○経営全般  ----同族経営----
 同族経営というと世間の目は家族のなれ合いと、経営者ファミリーの傲慢、マネジメントの不在とかマイナスイメージがありがちです。しかし、ある調査によると、業歴100年を超える創業者一族が経営する企業数は、欧州6,000社、 米国800社に対し、日本は20,000~30,000社 存在するといわれています。もし放漫経営だとしたら、これだけ長寿であり得るはずはないのです。同族経営企業であるがゆえの、強みがあるはずです。その内容について、考えてみましょう。殆どが同族企業であるが故に、これらの強みを活かしていくべきなのではないでしょうか。

1.意思決定を速くできる
 意思決定が一点に集中しているために、経営者単独、一族で意思決定を行う事ができます。また、経営者=株主ですから、株主の顔色をうかがう必要がなく、結果、意思決定が早くできます。

2.目指す方向は長期的で一貫性を持てる
 大きな組織であればあるほど意思決定をする際には、クリアすべき関門が多く存在しがちです。上司、株主等々です。また短期的成果を求めることで目指す方向もぶれやすくなりがちです。しかし、同族が故に決定権が一極に集中し、長期政権であることで、一貫性を保てます。長期展望で継続的な成長を視野とした経営方針を打ち出すことができます。老舗になればなるほど未来に責任を持たねばならないことが強みといえるのではないでしょうか。
 メリットをもたらす半面、リスクもあります。コンプライアンスの問題などは、自浄作用が働きにくい傾向があるでしょう。なので、バランスを取りながら経営をされていることが多いのでしょう。その背景には、地域との密接なつながりなどが一つの抑止力となっているのではないでしょうか。数字を追うだけの経営とは一線を画する経営理念をより大切に守られている様です。


平成29年10月号 決算の時に特に注意すべき項目:税務調査の目から

【知って欲しい大切な情報】
【決算の時に特に注意すべき項目:税務調査の目から】
 決算では、今期の利益がいくらなのかを計算するわけですから、売上は今年度にあげるべきなのか、経費は今年度のものなのかを重点的に検討することが基本になります。以下税務調査においても重点的に調べられる項目を中心に掲げます。月次の監査で確認しますが、皆様の方も留意してください。

○売上高の確認
 〆後の売上についても漏れなく計上する必要があります。万が一にも漏れた場合には、脱税行為となりかねませんので、請求漏れがないか等充分に注意しましょう。売上を計上すべき時期は原則、商品製品の引渡しの時、工事の完了引渡の時です。期末頃の完成で微妙な場合は必ず税理士事務所に相談してください。

○経費の中で特に注意すべき点 微妙な点は税理士事務所に相談ください。
 ●給料と外注費の区分
 同じ仕事をしても税務の定義で給料なのか外注費なのか、判断が難しいことがあります。一人外注などは要注意です。この違いで、源泉税と消費税に影響しますので注意が必要です。
 ●修繕費と資産計上の判断
 修繕費として一時の経費とすることが可能か、資産に計上べきか、微妙な判断が必要なケースがあります。税務上、実質基準と形式基準とかがありますので、注意が必要です。
 ●従業員に対する福利厚生など
 通勤手当、出張手当、社宅家賃、昼食代の活用、社員旅行、勤続表彰の課税関係など、従業員に対する福利厚生が給与として課税される場合がありますので、要注意です。

○現金残高の確認
 現金の実在残高と帳簿上の残高が一致しているか確認をしましょう。特に現金商売のところは売上に直接結びついていますので要注意です。金庫残高が多いのは危険です、できるだけ銀行に預けましょう。
○売掛金残高の確認
 取引先毎の残高が一致していることを確認します。できれば取引先に対し残高確認書により確認を行うことが望ましいです。確認することでいわゆる不正を防止できます。長期滞留先の状況も確認し、事情を必ず記録しておきましょう。貸倒損になるのではないかの判断の材料として必要です。

○棚卸商品・製品・貯蔵品
 自社の棚卸評価方法を再確認し、必ず実地棚卸を実施しましょう。そしてその棚卸の計算の原始資料(エクセルに書き写したものだけでなく)も必ず保管しましょう。特に期末頃に仕入れた物の確認漏れがないか、別の倉庫に入れている商品はないか、広告印刷物等の多量の残はないか等特に注意しましょう。工事業、製造業では仕掛工事、仕掛品がないかの再確認を特に期末は綿密に確認しましょう。

○固定資産の確認
 これまでに計上してある固定資産が実在するかどうかについて、現物と確認しましょう。既に滅失しているものは速やかにその理由を確認し、除却損で計上します。物はあっても使われていない、使う見込みのない物がないかも確認しましょう。除却損にできないかを当事務所で検討します。

○買掛金残高の確認
 〆後の仕入について漏れなく計上する必要があります。〆後の仕入については必ず納品書等により確認してください。棚卸との整合性も確認しましょう。

○未払金残高の確認
 期間損益を求めるにあたり、当期発生した経費についても計上する必要があります。買掛金同様に相手からの請求漏れがないか確認しましょう。

○経営全般        ---会計で会社を強くする その3---
 少し前の話になりますが、6月8日(木)の日経新聞に「金融庁「強権」を封印 銀行検査、抜本見直し」という記事が掲載されました。驚くことに「金融検査マニュアルを廃止する」というのです。今まで、金融機関は、10年以上、この金融検査マニュアル下での融資審査において、「財務諸表」を重視し、取引先の格付けをし、格付けの低い「債務超過先」や「赤字決算先」に対して、積極的には融資を行いませんでした。たとえ、その会社に成長可能性や将来性があったとしてもです。
 私が金融機関に勤めていたころは、たとえ財務諸表の内容が悪くても、企業を調査し、経営者に対してヒアリングを行い、その企業の将来性や成長可能性を見極め、それを稟議書に反映させることで、「この企業は、赤字企業だが、将来的には返済出来る」とし、困難な融資を実行したものです。この頃は、今金融庁が積極的に推進している「事業性評価融資」と同じスタンスだったのです。金融庁は、金融検査マニュアルを廃止することで、金融機関の本来の姿に戻ったといえるでしょう。
 では企業はどう対応すべきなのかですが、重要になってくるのは、「経営計画」です。重視されるのは「経営者の経営の姿勢」と「将来性」「成長可能性」なのです。一言で言えば本物の経営が求められるということです。それを、きっちりと金融機関の方に伝えることができる資料が「経営計画書」です。

平成29年9月号 節税の考え方

【知って欲しい大切な情報】
【節税の考え方】
前号で、「繰延型の節税」を紹介しましたので、もう一つの「永久(恒久)型の節税」を紹介します。

●永久(恒久)型節税で手許のお金を残す
 この節税は、課税の繰延べではありませんので、将来その分税負担が多くなるということはありません。従って本当の意味の「節税」であるといってもよいでしょう。
この永久型節税を3つのパターン別に見てみましょう。

(1)政策的な優遇税の活用
これは、国策としてある取り組みをする事で税の軽減をするという恩典を活用するものです。例えば、一定の設備投資等を行った時には一定額の「税額控除」を認める等です。このことで企業の設備投資を促進しようとしています。一定の人件費増額の場合の「税額控除」もそうです。
 後に節税分を支払うという税の繰延べではありません。多額の設備投資等に効果ある節税ですが、多額故に費用対効果を考えるべきです。節税を目的として必要でもない設備投資をするのは本末転倒です。

(2)過去の失敗の整理による税の取り戻し
 これは「不良資産」「不良在庫」などという「過去の失敗」を整理することで過去の税金を取りもどすというものです。例えば売掛金が回収出来なくなったので貸倒として損金(経費)にすることで今期の利益が減少し、結果的に税金の支払は小さくなります。売り上げたときに既に税金を支払っていますのでそれを取り戻す感じです。

(3)課税構造の違いを合法的に活用
 利益を得れば、必ず何らかの課税を払うという「関所」を通らなくてはなりません。その通るところの違いで税の負担が違います。そこを利用する節税方法があります。
 例えば「法人税と所得税」の違いを利用する方法です。個人事業から法人になり節税するというのが典型的パターンです。役員報酬からは「給与所得控除」という概算の経費が差し引かれた上で課税がされます。このような仕組みを利用して、法人個人の全体でもっとも税負担が小さくなるような役員報酬額を設定するのもこの節税策です。
 「相続税と贈与税」の違いの利用もそうです。毎年の110万円以内の贈与によって相続税を節税するという方法です。
 中には法律の盲点をつくことによってなされる節税?もあります。しかし、この盲点はいずれ改正され、期待した効果がなくなってしまい、節税対策が無駄になってしまうことは多々あります。例えば「法人契約の生命保険を個人に譲渡することについての税法の曖昧さ」をついた節税対策が目を付けられたという事例があります。盲点を突く節税はリスクが高すぎ、止めるべきです。

節税は行き当たりばったりではなく経営戦略的にすべき
 節税効果を得るには多くの場合、節税対策をしてから実際の効果が確定するまでには長い時間を要します。故に計画的に経営戦略の一環として取りくむべきです。事業計画で赤字が見込まれる期があればその期の費用を次期へ持ち越すなどの選択肢もあるでしょう。逆に大幅な黒字が見込まれる期に設備投資や修繕を行うことで、利益をコントロールできます。「収益と支出のバランス」について、それぞれが発生するタイミングをきちんと認識し、計画的に調整することが大切です。
 よくある決算賞与も、経営上の問題であり、節税のために支給するものではありません。成果が出たので還元するとかモチベーションを上げるために支給するとか、経営戦略として考えるべきです。
○経営全般        ---会計で会社を強くする その2---
 前号で、経営のための「現状認識」とそれを基に行われる「経営戦略の意思決定」のための武器はデータ=会計である。従って会計データは経営にとって最も重要な指標であることを述べました。
 では、経営者が実践すべき会計とはどんなものでしょうか。基本は正しい会計でなければ意味がないということです。正しくなければ正しい判断はできないから当然のことです。
 判断の指標となる正しい会計であるためには次の項目が満たされていることが条件です。
①発生主義での会計 : 売上げられた時に売上が計上され、小口は別にしても費用が発生したときに費用が計上されるというあたり前のことです。中には入金になったときに売上に計上し、払ったときに費用に計上するという現金主義の会計がまかり通っている場合があります。
②適時・正確な記帳の実践 : 適時の記帳は不可欠です。半年分まとめてなんて処理は論外です。
③月次決算の早期化 :  その月の経営状況は少なくとも翌月半ばには把握すべきです。②により日々記帳(入力)がなされていれば、あたり前のことです。
④改ざん不可能なシステム :  中には遡っていつでも変更、改ざんできる会計ソフトがあります。これでは経営者は安心して会計データに基づく戦略はできません。
⑤会計専門家の指導・助言 : 月次のデータの正確性が問われます。専門家の目が当然入る必要があります。このような会計データであって初めて業績管理体制を構築できます。
つまりP(計画)→D(行動)→C(検証)→A(改善)のサイクルを回すことができるのです。
 ちなみに、「中小企業の会計に関する基本要領」もこの事を求めており、これがスタンダードです。

平成29年8月号 節税の考え方

【知って欲しい大切な情報】
【節税の考え方】

●節税の目的とは
 税金という直接収益に結びつかない支出を減らすことが目的です。節税はそのことで手許のお金をできるだけ多く残すという「目的」を達成するためのひとつの「手段」であるということです。
 ところが、経営者の中にはいつしか「手段」が目的化してしまい「どうしたら税を安くできるのか」という視点だけで意思決定をする人もいます。その結果、必要のないものを購入し、税金は減ったもののそれ以上に手許のお金がなくなり、全くの本末転倒の対策をとっていることになります。

●二つの種類の節税
節税には「繰延型の節税」と「永久型の節税」があります。

繰延型の節税とは
 まず繰延型の節税について触れます。これは、今支払わなくてはならない税金の支払を翌期以降に延期するものです。延期ですから税額を減らしているわけではありません。節税対策の大部分がこの繰延型の節税だといってよいでしょう。一定の基準を満たした機械の特別償却の制度を使う節税とか、多様な生保や金融商品を用いた節税もこれに分類されます。特別償却は、後の期の減価償却が少なくなることで減らされた利益はいずれ利益としてまた元に戻ってきます。その時に結局課税がされます。

では、この繰延型節税は意味がないのでしょうか
 そうではありません。メリットを発揮するのです。どんな時かといえば、一つは今期利益が出てしまったが来期の業績が不透明である時です。一般的にはそうでしょう。来期以降に支払う可能性の高い費用を今期に支払うことで一定の効果があります。
 例えば、物販会社がHP等の広告費を仕掛けて消費者を獲得する、といった将来収益を生むための戦略的費用として使うといった場合です。費用を支払った時点ではすべて損金になればその効果は大きいです。使わなければ将来収益は生み出せないのですから。
 しかし、「いくら税金を減らすためにいくらの費用を使うか」というような逆算発想をするのは戦略的節税ではありません。目的と手段が入れ替わったものになってしまいがちですので注意が必要です。
ピーター・ドラッカーも「税制から経営の意思決定をするのは最悪の意思決定である」と言っています。

その他の目的で利益を少なくしたいとき
 節税は脱税ではありません、合法的に利益の少ない損益計算をする方法でもあります。
どういうときにそうしたいかといえば、例えば自社株を譲渡する際の株価を下げるため、一時的に業績を悪化させたいといった場合です。これも戦略的な節税策でしょう。

節税対策は、戦略的に行う必要あり
 一見ドラスチックな節税の効果の額に惑わされることなく戦略的に行う必要があります。
利益を上げても税金で半分持って行かれる、などとも言われますが、それは昔の話で、今は決して高くはありません。むしろ個人の所得税が高いくらいです。
 中小企業ではおおよそ25%前後の税金です。従って75%は残るのです。ですから、節税のための支出をした方が確実に出ていくお金は多いのです。手許のお金を増やしたいのであれば、支出をしないで素直に税金を支払ったほうが得策ということなのです。

○経営全般  ---会計で会社を強くする---
 これまで会計に対する中小企業経営者の意識は低かったといわざるを得ません。何故なら、高度成長期には、どんぶり勘定でも十分に儲かり、逆に、バブル崩壊以降の低成長時代に入ると、日々の売り上げを稼ぎ出すことに汲々とするあまり、会計による業績管理など二の次というのが実態となってしまったからです。一方、会計専門家である税理士の経営者に対する啓蒙不足、金融機関の融資の姿勢にも問題がありました。
 しかし、言うまでもなく会計とは企業経営の羅針盤であり、「会計を知らない経営者は、免許を持たないドライバーのようなもの」といっても過言ではありません。
 多くの中小企業経営者は、会計を税務申告や金融機関に提出するための義務と考え、どこか「他人ごと」だと感じ、経理担当者任せの業績・計数管理となり、いびつな経営を生み出すのです。会計とは、倒産を防ぎ健全経営を行うために創られた制度、つまり「会社を強くするための武器」です。有効に活用することで、経営をいかようにも方向付けることができる、そんな武器を使わない手はないのです。
 会計は経営結果の数値化ですから、会計によってしか、「現状認識」と「意思決定」は出来ないのです。頭の中に入っているというのも幻想に過ぎません。「現状認識」と「意思決定」までの間の溝を埋めるのが具体的かつ精緻なデータ=会計というわけです。だからこそ、会計は適時・正確な記帳の実践で、正しいものでなければ意味がないことも、これは当然です。

平成29年7月号 関係会社同士で取引をする際の経理上の注意点

【知って欲しい大切な情報】
【関係会社同士で取引をする際の経理上の注意点】

 親会社と子会社の取引など関係会社間取引は、第三者間取引と比較して取引価格を自由に操作したりすることなどで利益を操作し税金を操作しやすいため、税法上もその点を問題視されます。
 ポイントは、関係会社だけ特別扱いでなく第三者の企業と取引をしていると思って処理することです。
関係会社取引は、大きく分けて100%支配関係がある場合に適用される「グループ法人税制」とそれ以外の場合に適用される税制に分けることができます。
 ここでは一般的にある100%.グループ法人税制適用外の関係会社取引についてお話しします。

(1)関係会社間の資産の譲渡取引の金額の注意
 親会社と子会社間で資産の譲渡取引については、時価よりも著しく低い価格で譲渡した場合に、売却側には時価と取引価格の差額が寄附金、買取側には受贈益となります。結果買取側には利益が計上されますし、売却側にも寄附金には損金算入限度額があるため、一部が損金不算入になります。
(2)関係会社間の資金貸借取引で無利息だと問題有り
 親会社と子会社間で資金貸借の場合、無利息で資金貸借を行うと、関係会社間の資産の譲渡取引同様に貸付側は第三者間の利率に基づき計算した利息分の寄附金認定、借入側は受贈益が認定されます。
ただし、債務超過の子会社を救済するために無利息で貸付ける等経済的利益を供与する側から見て、下記(5)と同様にその再建支援等を行うことに相当な理由があると認められれば寄附金認定されません。
(3)関係会社間の業務委託取引やリベートの金額が合理的でないと問題有り
 親会社と子会社間で業務委託が行われるケースでは、業務委託の実態の有無、金額の合理性、資金の授受等が総合的に判断され、妥当でない場合は、損金の否認、益金算入等税制上不利な扱いがなされるケースがあります。
 売上代金の一部を戻すリベートが行われることもあると思われますが、これについても第三者間取引同様に明確な算定基準がない等の場合は損金の否認、益金算入等税制上不利な扱いがなされる場合があります。
(5)関係会社間の債権放棄をするとき
 親会社が業績不振の子会社に対し有する売掛金、貸付金等の債権について、債権放棄をした場合には、その債権放棄した金額は寄附金に該当します。ただし、関係会社間の資金貸借取引同様に再建支援等をしなければ今後より大きな損失を蒙ることが明らかな場合等、その再建支援等を行うことに相当な理由があると認められル場合に限り寄附金認定されません。
(6)関係会社間の共通経費負担をするとき
 関係会社間で同じ事務所を賃借する等、共通の経費が発生することがありますが、 共通の経費を一部の会社のみ負担している、使用割合以上に負担している場合は、過大に負担している側は寄附金に、過少に負担している側は受贈益認定されます。親会社の事務所を借りている等の場合も同様です。

上記から、関係会社間取引する際には、特別扱いではなく第三者の企業と取引をしているのと同様の考え方を持つべきです。その上で実態の有無、取引価格や負担の合理性、算定基準の明確化等総合的に判断し、税務署に説明できるように文書化する等して明確化する必要があります。

平成29年6月号 29年度税制改正について

【知って欲しい大切な情報】
29年度税制改正について
1. 中小企業経営強化税制
(1)改正の背景
  中小事業者の「攻めの投資」を後押しするとともに、サービス産業も含めた中小企業の設備投資を支援するため、中小企業経営強化税制が創設されることになりました。
(2)改正の概要
  中小企業投資促進税制のうち、生産性の高い先進的な設備や生産ライン等の改善に資する設備投資を対象に、即時償却又は税額控除ができる上乗せ措置について、中小企業等経営強化法の認定計画に基づく制度に改組した上で、対象となる器具備品及び建物附属設備が拡充されます。
  設備投資をされる場合は対象かもしれませんので、業者や認定支援機関である当事務所にご相談ください。下記②の計画や認定はそうややこしいことではなく当事務所で対応しますのでお気軽にご相談ください。

■適用要件

適用対象法人①青色申告書を提出する中小企業者
経営力向上計画(人材育成、コスト管理、設備投資など、事業者の経営力を向上させるための取り組みをまとめた計画)を提出し、認定を受けた法人
対象期間
平成29年4月1日から平成31年3月31日までの期間
適用対象法人 生産性向上設備(右記①、②を満たす設備)
①生産性向上設備▼発売開始から一定期間以内の設備(機械装置:10年以内、工具:5年以内、器具備品:6年以内、建物附属設備:14年以内、ソフトウェア:5年以内)
②旧モデル比で生産効率、エネルギー効率、精度等が年平均1%以上向上するもの
※ソフトウェア及び旧モデルが存在しない資産については、①の要件のみ
 収益力強化設備等 
年平均の投資利益率が5%以上の投資計画に係る設備等
取得価額要件・機械装置 1台又は1基の取得価額が160万円以上のもの
・工具及び器具備品 それぞれ1台又は1基の取得価額が30万円以上のもの
・建物附属設備 一の取得価額が60万円以上のもの
・ソフトウェア 一の取得価額が70万円以上のもの

■特別償却・税額控除の金額


特別償却
税額控除
中小企業者等
取得価額×100%
取得価額×7%
特定中小企業者等
取得価額×100%
取得価額×10%

なお、税額控除は当期の法人税額の20%を限度とし、控除しきれない場合には1年間の繰越しが可能となります。

改正イメージ

平成29年5月号 29年度税制改正について

【知って欲しい大切な情報】
29年度税制改正について
給与支給額増加の場合の税額控除制度の改正

(1)現行制度の概要
法人が、国内で雇用する使用人の給与総額を適用年度に応じた一定割合増額し、かつ、次の3つの要件を満たす場合は、給与等支給額の増加額の10%を税額控除(大企業は法人税額の10%、中小企業は20%が上限)ができます。 賃上げを行った企業へのインセンティブ機能を強化する観点から、平成25年度税制改正(5年間)で創設された所得拡大促進税制が拡充されます。大企業には要件が厳しくなります。


適 用 要 件
当期の雇用者給与等支給額 ≧基準事業年度(※1)の給与等支給額 × 一定の増加割合(表2参照)
当期の給与等支給額(※2) ≧ 前期の給与等支給額  
当期の平均給与等支給額(※3) > 前期の平均給与等支給額

*1基準事業年度とは、平成25年4月1日以後に開始する各事業年度のうち、最も古い事業年度の直前事業年度を指します。
 (例)3月決算→25年3月期
*2給与等支給額は、国内雇用者に対する給与等の支給額で、各事業年度の法人の所得金額の計算上損金の額に算入されるものをいいます。
*3平均給与等支給額とは、適用事業年度の継続雇用者(国内雇用者で日雇い者を除く)に対する給与等の支給額を、継続雇用者が勤務した月数の合計で除して計算した金額をいいます。

■「一定の増加割合」とは   (表2)


適用事業年度
基準年度(24年度)比の伸び率
中小企業者以外中小企業者
平成28年4月1日~平成29年3月31日104%103%
平成29年4月1日~平成30年3月31日105%103%

(2)改正の概要        平成29年4月から30年3月末まで開始事業年度適用
同税制の適用要件③(前年伸率)が改正されます。これにより、従来の適用要件①②を満たすことで「給与等支給額の増加額の10%」の税額控除が適用でき、さらに改正後の要件③を満たすことで、賃上げ2%以上だと中小企業ならば最大で22%(10+12%)の税額控除を受けることが可能になります。


改正後の要件③ 税額控除額


平均給与等支給額:
前年度比2%以上増加
(2%未満は除外されます)
(賃上げ率2%以上の企業)
・前年度からの増加額について税額控除を2%上乗せ



平均給与等支給額:
 前事業年度を上回る
前年度比2%以上増加

賃上げ率2%未満の企業 
・税額控除10%を維持
賃上げ率2%以上の企業
・前年度からの増加額について税額控除を12%上乗せ

平成29年4月号 29年度税制改正について

【知って欲しい大切な情報】

【29年度税制改正について】

非上場株式の評価の見直

 皆様方の会社の株式評価は相続や贈与の時にしなければなりませんが、その非上場株式の評価方法のひとつである「類似業種比準方式」が、大きく見直されます。
 類似業種比準方式とは、事業内容が類似する上場企業の株価を基に、評価対象会社の1株当たりの配当金額、利益金額、純資産価額を比較することで株価を算定する方法です。

(1)現行と改正の背景

■現行制度における類似業種比準方式の計算式

A:類似業種の株価(①課税時期以前3ヶ月間の各月の株価のうち最も低い価格、②前年平均株価のいずれか)

B:類似業種の1株当たりの配当金額

C:類似業種の1株当たりの年利益金額

D:類似業種の1株当たりの純資産価額

b:評価会社の直前期末以前2年間における1株当たりの年配当金額

c:評価会社の直前期末以前1年(又は2年)間における1株当たりの年利益金額

d:評価会社の直前期末における1株当たりの純資産価額

 類似業種比準方式は上場会社の株価(A)を基に算定するため、中小企業の株価も著しく変動してしまいます。企業の業績に大きな変化がないにも関わらず、想定外に株価が高く評価される事にもなるのです。問題は、3 つの比準割合の構成比です。上記算式のとおり、現行制度では「配当1:利益3:純資産1」とされていることから、利益の高い会社の株価はどうしても高く評価されてしまいます。

 そこで、株価評価の基礎となる上場企業の配当、利益及び純資産という比準要素を見直し、中小企業の実力を適切に反映した評価ができるよう、計算方法が改正されることになりました。

(2)改正の概要
非上場株式の評価の見直し
 類似業種比準方式について、次の見直しが行われます。
■改正後の類似業種比準方式の計算式(赤字が改正部分)

A:現行制度上の①、②または③課税時期の属する月以前2年間の平均価格のいずれかを選択

B:類似業種の1株当たりの配当金額

C:類似業種の1株当たりの年利益金額

D:類似業種の1株当たりの純資産価額

b:評価会社の直前期末以前2年間における1株当たりの年配当金額

c:評価会社の直前期末以前1年(又は2年)間における1株当たりの年利益金額

d:評価会社の直前期末における1株当たりの純資産価額

平成29年3月号 29年度税制改正案について

【知って欲しい大切な情報】

【29年度税制改正案について】
前号で概略をお知らせしました。各項目で少し詳しくお知らせします。
■配偶者控除と配偶者特別控除の見直し
これらの改正は平成30年分以後の所得税について適用されます。
いわゆる「103万円の壁」というのは

基礎控除38万円 + 給与所得控除65万円 = 103万円

妻の収入を103万円以下とすることで、
 
妻が所得税を支払わずに済む
 夫が配偶者控除を受けることができる(控除額38万円)

というものです。103万円を超えても配偶者特別控除があるのですが、103万円が一人歩きしているようです。また、収入を抑える要因として、「103万円」という金額が企業の配偶者手当制度等の支給基準に採用されていることもあります。これらが、人手不足の要因の一つだということで「150万円の壁」へと拡大されることになりました。

①配偶者控除
配偶者控除(改正前)

控除額
控除対象配偶者 老人控除対象配偶者
38万円 48万円

配偶者控除(改正後)    一律ではなく所得によって変わることになります。

居住者の合計所得金額控除額
控除対象配偶者 老人控除対象配偶者
900万円以下 38万円 48万円
900万円超950万円以下 26万円
32万円
950万円超1,000万円以下 13万円 16万円
1,000万円超 適用なし 適用なし

配偶者特別控除

配偶者特別控除の控除額(改正前)

配偶者の合計所得金額
38万円超
40万円未満
40万円以上
45万円未満
45万円以上
50万円未満
50万円以上
55万円未満
55万円以上
60万円未満
60万円以上
65万円未満
65万円以上
70万円未満
70万円以上
75万円未満
75万円以上
76万円未満
76万円以上
38万円 36万円 31万円 26万円 21万円 16万円 11万円 6万円 3万円 0万円

見方の例)所得76万円は、給与でいえば65万円控除前ですから141万円です。給与収入で140万円の場合、
所得は140万円-給与所得控除65万円=75万円ですので3万円の控除があります。

配偶者特別控除の控除額(改正後)

配偶者の合計所得金額

38万円超

85万円以下

85万円超

90万円以下

90万円超

95万円以下

95万円超

100万円以下

100万円超

105万円以下

105万円超

110万円以下

110万円超

115万円以下

115万円超

120万円以下

120万円超

123万円以下









900万円以下 38万円 36万円 31万円 26万円 21万円 16万円 11万円 6万円 3万円

900万円超

950万円以下

26万円 24万円 21万円 18万円 14万円 11万円 8万円 4万円 2万円

950万円超

1,000万円以下

13万円 12万円 11万円 9万円 7万円 6万円 4万円 2万円 1万円
1,000万円超 適用なし

 見方の例)妻の収入が150万円だと、所得は150万円-給与所得控除65万円=85万円以下ですので配偶者控除はありませんが、その替わりに38万円の配偶者特別控除があります。妻の給与収入が200万円の場合は所得は122万円ですので(別に計算表があります)3万円の配偶者特別控除があることになります。
 ただし夫が高額所得者だと上の表のように控除が少なくなります。なので高額所得者は増税になります。

平成29年2月号 29年度税制改正案について

【知って欲しい大切な情報】

【29年度税制改正案について】
比較的関係ありそうな重要項目の概略をお知らせします。「案」ですので、詳細が決まったら随時便りにてお知らせします。また例年通り研修会でお知らせする予定です。
○【所得税関係】配偶者控除、配偶者特別控除の見直し
いわゆる「103万円の壁」を解消するための改正です。配偶者特別控除について、38万円の控除を受けることができる配偶者の要件が、給与収入ベースで103万円→150万円になります。
配偶者特別控除については給与収入ベースで141万円→201万円になります。一方で、配偶者控除について、控除を受ける本人に所得制限(合計所得金額1,000万円以下)が加わったり、所得金額により控除額が段階的に引き下げられたり、給与収入1,220万円超(所得1,000万円超)の場合は配偶者控除・配偶者特別控除ともに適用できなくなる等、かなり複雑になります。 
 平成30年分の所得税、平成31年度分の住民税からの適用です。

【法人税・所得税関係】雇用者給与等支給額が増加した場合の税額控除制度の拡充
従来からある制度の改正です。一定の要件を満たす必要がありますが、給与増加額の10%を税額控除できるという制度です。ただし法人税額の10%(中小20%)が限度です。改正後は、
大企業→賃上げ率2%未満は適用できなくなります。2%以上だと10%に2%上乗せ12%になります。
中小企業→賃上げ率2%未満は10%、賃上げ率2%以上の場合2%上乗せで合計22%になります。
平成29年4月1日以降開始事業年度から30年3月31日の間に開始する事業年度に適用です。

○【法人税関係】生産性向上設備の即時償却等(中小企業経営強化税制)
青色申告書を提出した中小企業者等で経営力向上計画の認定を受けた者が、一定規模以上の特定経営力向上設備に該当する機械装置、工具器具、付属設備、ソフトウエアを取得し事業の用に供した場合に
・即時償却   ・7%(特定中小企業者等は10%)の税額控除(法人税額の20%を限度)
のいずれかを選択適用できるというものです。 
平成29年4月1日から平成31年3月31日までの間に事業の用に供した生産性向上設備に適用です。

【法人税】中小企業者等の軽減税率の特例の延長
現在、中小企業者等については、課税所得800万円以下の部分については、法人税税率15%(本則19%)に軽減されていますが、その期限が平成31331日以前開始事業年度まで2年延長されます。

【財産評価】非上場株式の評価方法見直し
中小企業の株式の評価方法の一つである類似業種比準方式の見直しがなされます。
・類似業種の上場会社の株価について、現行に加え前2年間平均額を追加する。 
・類似業種の上場会社の配当金額、利益金額、簿価純資産価額を、連結決算を反映させたものとする。
・比較する要素である、配当金額、利益金額、簿価純資産価額の比重を1:1:1にする。 
現行は比重は1:3:1であり、利益の額を重視して評価額を計算していました。改正により、利益がたくさん出ている会社の株式は、改正前よりも評価額が下がります。  
平成29年1月1日以降の相続等から適用。

固定資産税の3年間半分に減免、生産性工場設備の税額控除もしくは即時償却等、中小企業向けの投資促進税制が統廃合されたりして複雑化しています。経営力向上計画の策定を求められるものが多くなってきました。詳細を検討の上、皆様には随時お知らせしていきます。


平成28年12月号 損益通算について

【知って欲しい大切な情報】

【損益通算について】
○損益通算とは

税制上、収入は性質ごとに区分されています。そして、その区分ごとに課税の方法も異なります。
例えば、会社員が受け取る給料は「給与所得」、貸家の収入は不動産所得、配当は配当所得といった具合です。そこで、複数の区分から収入を得ていて、ひとつの区分に赤字があれば、ほかの区分の黒字から差し引けるのです。これが「損益通算」ですがうまく活用することが節税につながります。
損益通算の方法は複雑なのですが、ここでは基本的なことをお話しします。

○所得税の課税方法は、「総合課税」と「分離課税」とに分けられます。
各種の所得を合算したものに税率を乗じることを総合課税、個別に税率を乗じることを分離課税といいます。税制上の原則は総合課税です。例外として分離課税が存在します。

[総合課税の対象]
利子所得・配当所得・不動産所得・事業所得・給与所得・譲渡所得(土地建物等・株式等の譲渡所得以外)・一時所得・雑所得。

[分離課税の対象]
譲渡所得(土地建物等)・譲渡所得(株式等)・山林所得・退職所得・先物取引による所得。
譲渡所得は総合課税・分離課税双方にあります。

○どうして「分離」して課税するのか
税制は所得が多いと税率も上がるという制度(累進課税)になっています。総合課税だけだと、住宅ローンが払えなくて自宅を売却した人に高額の税金がかかってしまったり、長年働いた後の退職金に大きな税金がかかってしまったりします。そのような事態を避けるために、一時的な高額所得は分離して所得税を計算するようになっています。

○損益通算の手順
損益通算のポイントは、まず総合課税、分離課税各々のなかで通算するという大原則があります。
損益通算できるのは「不動産所得」「事業所得」「山林所得」「譲渡所得」の4つで生じた赤字のみです。
その手順はいくつかの段階に分かれています。まずは区分(グループ)毎に通算します。

第一グループ:不動産所得と事業所得の損失。利子所得・配当所得・給与所得・雑所得から「不動産所得と事業所得の損失」を差し引くことが出来ます。
よくあるのは、給与所得+200万円、農業等の事業所得▲50万円 の通算で150万円となるといった事例です。

第二グループ:総合課税の譲渡所得の損失。一時所得から「譲渡所得の損失」を引くことが可能です。ここでいう譲渡所得には、分離課税のものは含まれませんのでご注意ください。
第一グループと第二グループ内で通算した後、なお損失があれば、他グループとの通算できます。
例えば、第一グループは+300万円のプラス、第二グル―プ▲100万円という場合には、2つを通算して+200万円とすることができます。

○損益通算の例外
損益通算の対象外となる場合もありますので注意してください。ご不明点は事務所担当者にお尋ねください。


平成28年11月号 マイナンバーの対応は進んでいますか・【中小企業向けの固定資産税の軽減特例】について

【マイナンバーの対応は進んでいますか 】
マイナンバーが28年1月から始動しています。
税務や社会保険などの手続きの際にマイナンバーが必要となります。

28年分の年末調整が始まりますが、
「平成28年分の給与所得者の扶養控除当申告書」に、給与所得者本人、扶養控除の対象者、控除対象配偶者等のマイナンバーの記載が必要です。
源泉徴収票への記載、確定申告書への記載も始まります。

マイナンバーについて事業者がやらなければいけない主なことをまとめておきます。

  1. 従業員に利用目的を通知し、マイナンバーを集める
  2. 会社のマイナンバー(法人番号)を調べる
  3. 地代家賃や報酬等の支払先(支払調書に必要)に利用目的を通知し、マイナンバーを集める
  4. マイナンバーの管理者・事務担当者を決める
  5. マイナンバー管理のセキュリティ対策
  6. 年末調整資料の作成・事務手続き


【中小企業向けの固定資産税の軽減特例】について 
機械装置に関する固定資産税(償却資産税)が3年間半額になるという制度です。
対象の期間は平成28年7月1日から平成31年3月31日までです。

この対象になるのは 
 〇 一定の機械装置(新品) 
 〇 販売開始から10年以内の物 
 〇 旧モデル比で生産性(単位時間当たりの生産量、精度、 
   エネルギー効率等)が年平均1%以上向上するもの 
 〇 160万円以上 
 となっています。 
対象の期間は平成28年7月1日から平成31年3月31日までです。

この軽減措置の適用を受けるための手続きは下記となっています。 

  1. 工業会等による証明書を設備メーカー等を通して入手。 
  2. 事業所管大臣に当該設備の取得を含む「経営力向上計画」を提出し、
    認定を受ける。申請の際には、工業会等による証明書を必ず添付する。 
  3. 毎年1月の固定資産税の申告の際に、申請書の写し、認定書の写し、
    工業会等による証明書の写しを申告書類とともに市町村等に提出する。 
 この認定を受ければ、機械装置に関する固定資産税が3年間半額になります。 
 なお、既に取得した機械装置についても申請できますが、 
 この場合は取得から60日以内に計画を提出しなければなりません。 

 なお、計画申請から認定までにかかる日数は標準的には30日となっています。
 また、工業会等が発行する証明書の取得には数日~2か月間かかるようです。
28年7月号にも記載していますので、ごらんください。


平成28年10月号 企業格付けのこと

【企業格付けのこと 】
1.
企業格付けとは? その目的は?
 金融機関がつけるいわば企業の通信簿です。具体的には、各金融機関が取引先企業の今後3~5年間の信用力をスコアリング(点数付け)して10~15項目に分類しています。
 企業格付けは、金融機関が負う「信用リスク」、つまり、取引相手の契約不履行により、債権が期日に回収できなくなるリスクを把握管理する体制を構築するために行われます。 

2.企業格付けのもつ意味
 企業格付けは、
取引先の取引方針の決定、融資案件の審査、金利の設定、保全の検討等の判断の重要な要素となります。現在、多くの金融機関では企業格付けと連動した標準金利を設定しており、企業格付けを改善すれば金利の引き下げも可能になります。
 中小企業の場合、経営基盤が十分でないため、外部環境の変化等はすぐに売上や利益に影響し、財務内容を悪化させるケースが少なくありません。特に、資金繰りの悪化は経営の根幹にかかわってきます。
 中小企業の場合、資金の調達は金融機関からの借入に頼っている部分がほとんどです。したがって、この「企業格付け」を引き上げるための経営努力が必要です。

3.「企業格付け」はどのようにして評価されるのか?
 各金融機関が独自のスコアリングシート(得点表)を使用して、最低年1回、企業の決算書を基に行います。つまり毎年見直されていくということです。 
 「格付け」の構成要素には、財務評価(定量要因)と非財務評価(定性要因)があり、定量要因は計数によって、債務者償還能力を中心に安全性や収益性、成長性などを評価します。
 また、定性要因では経営環境や経営能力、将来性など数値に表れない項目を評価します。

4.「企業格付け」をアップするにはどうすればよいか?
 各財務評価を引き上げる対策としては、各種指標を構成している勘定科目の数値を好転することです。具体的には主に次の3つになります。
 a 自己資本の増加   b有利子負債の圧縮  c  償却前営業利益の増加

①「企業格付け」を引き上げる数値目標・行動目標を設定して、毎月経営をチェックしていくことが企業の体質改善には最も有効な手段です。むしろそれ以外にないのではないでしょうか。
格付けアップ目的で決算書を組み替える似非コンサルもあるようですが、本末転倒でありますので、そこはお間違えなく。 

②「定性要因」をアップさせるには 
通常の財務データでは判断できない総合的な企業評価項目をよく知り、その向上に向けて企業の体質改善を計画的に地道に行うことです。特に企業風土の改善を経営者が先頭だって取り組む姿勢が必要です。

5.企業が自社の「格付け」を知ることはできるのか?
 企業格付けは、貸付け審査の一部ですので、詳しい説明を受けることは一般的には難しい状況です。
当事務所では、TKC自計化システムFX2を利用して財務会計処理をしていただいている関与先につきましては、「企業格付け自己診断システム」を活用して、『金融検査マニュアル別冊』に対応したスコアリング・シート及びチェックリストにより、格付けを確認しています。

平成28年9月号 

【税務調査時に特にチェックされること 】
秋は税務調査の時期です。調査は申告内容が正しいかを確認するのが目的です。ここでは問題となりやすい点を掲げました。調査を甘く見てはいけません、きちんとしておけば何の問題もありませんが、どうしても疑いの目で見られます。あらぬ疑いを掛けられて問題が生じないように記録(証拠)を重視し適正に処理をしておくことが大切です。領収書に一緒に食事した相手の名前をメモ書きをしたり、証拠の保存を心掛けておくことは重要です。言うまでもありませんが、脱税は論外です。絶対にやめましょう。
1.大きな変動のあった科目
金額が大きく変動したときには、
その原因をきちんと分析して把握しておくことが大切です。税務調査のためだけでなく、経営的にも大切なことです。
2.現 金
現金の有高と帳簿残高に差異がある場合には、売上計上洩れ、仕入計上過大等、税務調査で疑いを掛けられ問題になりやすいのです。日頃から現金実査を行い記帳誤りがないように心がけましょう。
3.棚卸資産
在庫調べもれがないようにしましょう。事業年度末において必ず実地棚卸をし記録に残します。原始記録は絶対に捨てないで下さい。外注先保管品、外部倉庫預け品などを確認したり、期末日直前の入荷・出荷などに注意しましょう。棚ざらし等で評価減をするときには根拠を記録したり、必要に応じて写真をとったり、説明できるような資料を保管しましょう。
4.固定資産
新規購入資産は、
事業に使い始めた日がいつかが大切です。事業の用に供してはじめて減価償却できるからです。購入した資産をいつ事業の用に供したか確認できるようにしておきましょう。また、固定資産台帳と現物とが合っているでしょうか。毎期末には確認をしましょう。
5.資本的支出と修繕費
減価償却資産について、修理、改良等のため支出した金額が資本的支出となるか、修繕費となるかの根拠について説明できるよう、特に問題となりそうな場合は、写真、新旧図面、見積書、工事内容の説明書などの資料を整理しておく必要があります。
6.売上げ.仕入れ、経費
いつ売上し、いつ仕入れたのかがポイントです。特に
期末前後は要注意です。実際は今期の売上なのに翌期にしているのではないか、翌期の仕入れを前倒ししていないかを日報等で確認されます。売上はその商品等を相手方に引き渡した日に計上します。特に翌期初めの売上は「引渡しの日」が客観的に説明できるように、日報や納品書等の書類を整理しておくことです。
7.役員との取引 ・役員報酬
役員と会社の取引は特に注意が必要です。役員に極端に安く売ったり、
役員の個人的経費を会社につけ込んだりすることは厳に慎むべきです。会計に対する経営者の姿勢そのものが疑われ、他にも何か疑わしいことがあるのではと思われかねません。役員報酬は原則毎期首から3月以内に取締役会等で決めます(議事録整備)。期の途中の利益調整のための変更は原則損金にできないので注意が必要です。
8.関連会社間の取引
親会社と子会社などとの取引は、力関係で不合理な取引があるのではないかと思われがちです。そこで、取引については、特に
第三者からみても客観的な取引と認められるように根拠資料を作成しておきましょう。
9.雑収入や雑費
企業によっては
自販機の手数料や、廃品鉄くず等の売却収入がありますが、そのまま福利厚生に使ったりしてつい漏れがちです。福利厚生に使ったとしても、収入は収入、支出は支出で必ず計上しましょう。紹介手数料等は支出先等を明確に帳簿書類に記載しなければ、損金にできないこともありますので要注意です。
10.架空人件費がないか?源泉所得税は天引きされているか?外注費と給料が混乱していないか?
最近の税務調査時によく見られるポイントです。消費税にも関係してきますので注意しましょう。
11.領収書や契約書等に収入印紙が貼られているか?
12.消費税 帳簿と請求書の保存

仕入税額控除の要件として、帳簿記帳と請求書等の両方を保存しておかなければなりません。
上様領収書はだめです。帳簿記入は正しいか、請求書等に洩れがないかを確認しておきましょう。

 税務署さんは、税務調査で、その会社が支払った細かい経費を記録していかれます。払ったところがあれば受け入れているところがあるわけで、その受け入れた会社に税務調査に行った時に、それが売上や雑収入に計上されているかを確認します。小さい金額だからとか領収書を切っていないからといって(必ずしも領収書がなければ経費にできないことはありません)除外することは絶対に止めましょう。

平成28年8月号  「中小企業等経営強化法」の制定で企業はますます未来志向経営計画が求められる

○「中小企業等経営強化法」の制定で企業はますます未来志向経営計画が求められる
 中小企業の新たな事業活動の促進に関する法律の一部が改正され、「中小企業等経営強化法」となり、平成28年7月1日より施行されました。中小企業の経営強化を図るため、事業所管大臣が事業分野ごとに経営力向上のための取組等について示す指針を事業所管大臣において策定するとともに、当該取組を支援するための措置等を講ずるというものです。

これまで、私どもの事務所が皆様とともに経営計画を策定し予実の管理をしてきたことが、やっと認められる気がします。今後はより高いレベルでの事業計画を推進していきましょう。

○目標指標となる「ローカルベンチマーク」について
 これも既に皆様の決算報告会の中で経営分析指標として目標を設定していることです。
 企業が自らの経営状態を把握していくために、「ローカルベンチマーク」という新しいツールが経済産業省から提唱されました。ローカルベンチマークは、企業の経営状態の把握、いわゆる企業の「健康診断」を行うツールとして、経営者等や金融機関・支援機関等が、企業の状態を把握し、双方が同じ目線で対話を行い、課題を認識し解決の為の行動につなげていくための指標です。
当事務所では、既に取り組んでいる当たり前のことで、ちょっと遅いような気がするのですが・・・。

○「ローカルベンチマーク」とされる指標は
 地域経済(ローカル経済圏)で生き残っていくためにも「稼ぐ力」を高めていくことが必要です。
 今回、経済産業省がとりまとめた「ローカルベンチマーク」では、「財務情報」から6つの指標として、次の指標が掲げられています。

これらの指標は、既に皆様に提供している月次試算表や決算書に掲載されている指標です。

 (1)売上高増加率(売上持続性:売上高/前年売上高)
 (2)営業利益率(収益性:営業利益/売上高)
 (3)労働生産性(生産性:営業利益/従業員数→一人あたり営業利益)
 (4)EBITDA有利子負債倍率(健全性:(借入金-預金)/(営業利益+減価償却費) 
   →借入金返済能力(年数)です。預金を引いてあり、経常利益でなく営業利益を使っています。
 (5)営業運転資本回転期間(効率性:(売上債権+棚卸資産-買入債務)/月商
 (6)自己資本比率(安全性:純資産/総資産)

更に「非財務情報」から4つの視点として、
 (1)経営者への着目 (2)関係者への着目 (3)事業への着目 (4)内部管理体制への着目
を掲げています。
 企業として生き残っていくためには、経営者自身も課題に気づき、緊張感を持って経営改善に向けた目標の設定や共有、「PDCAサイクル」を機能させていくことが必要ということです。

○ ローカルベンチマークは金融機関にも取り入れられる
 金融機関側でも企業の成長余力や持続性、生産性等の評価を行うこが期待されています。平成27年9月に金融庁が公表した金融行政方針の中でも、企業の価値向上・経済の持続的成長と地方創生に貢献する金融業の実現に向けた施策のひとつとして、金融機関に対して中小企業の事業性を評価した上で融資を行うことを求めていることは事務所便り7月号でお知らせしたとおりです。

2016年7月号  生産性工場設備にかかる固定資産税の軽減措置について

生産性工場設備にかかる固定資産税の軽減措置について
 機械装置等にも償却資産税として固定資産税がかかっています。
この償却資産税を割引するという制度です。機械装置の導入予定があれば、適用できないかを注意して当事務所にご相談ください。中小企業のみに適用される制度です。

(1)制度創設の背景
わが国の経済は緩やかな回復基調にありますが、地方によっては経済環境に厳しさが残っています。ローカル・アベノミクスの更なる浸透による地域経済の活性化に向けて、地域の中小企業による設備投資の促進を図るため、固定資産税の期間限定で特例措置が創設されました。

(2)制度の概要
① 中小企業者等が、「中小企業等経営強化法」の施行日(7月1日)から平成31年3月31日まで期間に一定の機械及び装置を取得した場合、その固定資産税について、最初の3年間に限り、課税標準を価格の2分の1とする措置が創設されました。

対象者① 資本金の額又は出資金の額が1億円以下の法人
② 資本若しくは出資を有しない法人の場合、常時使用する従業員の数が1千人以下の法人
③ 常時使用する従業員の数が1千人以下の個人
対象資産次の①〜③の要件をすべて満たす機械及び装置
① 販売開始から10年以内のもの
② 旧モデル比で(生産性単位時間当たりの生産量、精度、エネルギー効率等)が
  年平均1%以上向上するもの
③ 1台又は1基の取得価額が160万円以上のもの
内 容固定資産税の課税標準を、最初の3年間に限り2分の1とする
適用期間中小企業等経営強化法の施行日(28年7月1日)から平成31年3月31日まで期間

② 「中小企業等経営強化法」の施行日以降に取得した設備となっています。施行日は7月1日となっています。
③ 適用を受けるためには、企業が経営力向上計画を策定し、経済産業局に提出し、認定を受けることが必要です。
基本、認定後に取得した設備が対象になるわけです。
ただし、認定前に取得した設備についても、「取得日から60日以内に計画を提出」すれば受理されることとなっています。
④ 申請に当たっては、工業会が発行する「証明書」が必要です。企業としては、設備購入メーカーにこの対象になるかどうかを確認してください。
⑤ 申請の書類は詳細調査中です。いずれにしても認定支援機関である当事務所にて作成支援することになる予定です。

平成28年6月号  源泉徴収について

○源泉徴収について
 最近、税務調査で売上や経費の処理はきちんとしてあったとしても、それ以外に源泉徴収の件が細かく見られ、源泉徴収をしていなかったとして、源泉徴収義務者である支払者に税金を払って下さいという事例が出ています。本来会社が負担する税ではなく会社が引き忘れていただけなのですが、会社は引く義務があるので、その義務を果たして下さいというわけです。
その場合、いったん会社が支払い、支払った従業員さんや相手先に「源泉徴収をしていなかったので、遅ればせながら源泉税を戻して下さい」と請求しなければならなくなります。退職者になればこれはなかなか難しく、結局とれないとなりがちですので、充分注意して下さい。

1.源泉徴収の趣旨と内容
 給与や報酬などの支払いを行う者が、その支払いを行う際に、所得税を差し引いて支払います。差し引かれた税金は、支払者が代わって定期的に納付をする制度です。その支払者のことを源泉徴収義務者といいます。つまりは事業者が源泉徴収をしなければならないのです。毎月の源泉徴収実務は、「源泉徴収の対象となるかの判定」→「金額計算と徴収」→「納付」の手順になります。

2.源泉徴収の対象となる支払について
 源泉徴収の対象は法律で定められているものに限られています。源泉税を引かなければならないのは給料だけではありません。むしろ給料以外の源泉税の処理に問題が起こりますので注意しましょう。 代表的な取引としては次ようなものがあります。
○株主に配当を支払うとき:会社のほうで先に源泉税、上場株式以外は所得税20%+復興特別所得税0.42%=20.42%)を引きます。
講師の謝金:会社の研修会に大学教授を招き、講演料を渡すときも10.21%(所得税10%+復興特別所得税0.21%)の源泉税をさし引きます。例えば手取りで5万円の講演料を渡したいときは55,685円の講演料として、源泉税5,685円としないと計算が合いません。
士業の方に支払う報酬:弁護士、税理士、公認会計士、司法書士、社会保険労務士、司法書士等の専門士業の方に報酬を支払うときも決められた源泉税を差し引きます。

3.源泉徴収金額の計算方法
 源泉徴収金額の計算は支払内容によって変わります。一般的な給与と報酬の計算方法を紹介します。 給与の源泉徴収税額は、支給金額から社会保険料等の控除を行い、その金額を扶養者の数等を考慮して源泉徴収税額表に当てはめると算出できます。
 源泉徴収をする所得税及び復興特別所得税は、税額表に記載されている「甲欄」か「乙欄」又は「丙欄」で税額を求めます。「給与所得者の扶養控除等申告書」が提出されている場合には「甲欄」、提出がない場合には「乙欄」で税額を求めます。「丙欄」は「日額表」だけにあり、日雇いの人や短期間雇い入れるアルバイトなどに一定の給与を支払う場合に使います。
 ここで大切なのは、「給与所得者の扶養控除等申告書」をもらっている人とそうでない人はもらっている人の方が源泉税が少ないということです。必ず採用の時にこの申告書をもらって下さい。
 報酬の源泉徴収税額は、支払金額に税率(概ね10.21%)を掛けて計算します。専門家の種類によって源泉徴収の方法が異なりますので注意が必要です。迷ったら支払う前に必ず税理士事務所に相談下さい。
 
 消費税の取り扱いですが、源泉徴収は、消費税も含めた金額を対象に計算を行います。ただし、
請求書で報酬金額と消費税額が明確に区分されている場合に限り、消費税抜きの報酬金額を源泉徴収の対象とすることができます。
 例えば、請求書に報酬108,000円とだけ記載すると源泉徴収税額は、11,026円(108,000円の10.21%)となりますが、請求書に報酬100,000円と消費税8,000円を区分して記載すると源泉徴収税額は、10,210円(100,000円の10.21%)にすることができます。

4.特に注意すべきこと
 給与の源泉徴収はあまり問題になりませんが、報酬の源泉徴収は、そもそも源泉徴収の対象となるかどうかの判定をしなければなりません。源泉徴収の判断と責任を追うのは報酬を支払う者つまり源泉徴収義務者です。支払者は受け取った請求書に源泉徴収の記載がなかったり、たとえ源泉徴収をしないように依頼等があったりした場合であっても、源泉徴収をしなければなりません。もし源泉徴収を怠った場合、不納付加算税と延滞税が別途課税されますので、注意しましょう。
 請求する側は、取引先とのトラブルを回避するため、報酬の対象となる業務が源泉徴収の対象となるかどうかを把握し、消費税の金額もきちんと明示して、源泉税の額も明示して、請求書を発行するようにしましょう。

5.源泉徴収金額の納付について
 源泉徴収した者は、実際に源泉徴収を行った月の翌月10日までに、納付します。例えば、3月1日~31日の間に支払いを行った場合、4月10日までに納付を行います。
 小規模の事業者が毎月源泉徴収した税金を納付するのは事務的にも大変なため、給与の支払人員対象者が10人未満の源泉徴収義務者が「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」を税務署に提出して承認を受けると、1月から6月までの所得税は7月10日まで、7月から12月に支払った分に対する所得税は、翌年の1月20日までに納付すればよくなります。

平成28年5月号 M&Aにまつわる話:主に税務について

1.”事業譲渡”とは

 事業譲渡は株式を売るのではなく事業を売ることになります。一般的には事業所の土地建物、機械や備品を売る、在庫商品を売る、場合によってはお客様がついているのでその価値を売る、といったイメージです。事業用の資産を売るといった方法です。

 この場合だれが、利益を上げるかといえば、売る方の会社が、対象の事業を買い手に売って対価をもらう訳ですので、利益があるのは、売る方の企業という事になります。利益が出た場合には、当然に税金を負担しなければならないということになります。ただし、必ずしも利益が出るとは限りません。

2.税金はどうなる?いくら負担するのか?

 次に、いくらの税金を負担するのかという事ですが、これは法人と個人によって分かれます。基本的に法人は、法人税と事業税と住民税を負担します。個人の場合は所得税を負担することになります。

 法人の場合は、“株式譲渡”であれ“事業譲渡”であれ、通常の法人の事業損益の中に入りますので、このM&A( 株式譲渡、事業譲渡)によって利益を得た場合は、他の事業の損益と合計された上で利益がでれば税金がかかります。法人税率は概ね30%前後となるでしょう。

3.個人で事業譲渡の場合は

 まれに”個人事業”を誰かに買ってもらう事もあるでしょう。個人事業の場合は、株式会社ではありませんので、当然のごとく株式は存在しません。従って”株式譲渡”という手法はありません。結果として”事業譲渡”という方法しかありません。その場合は、個人の譲渡所得や事業所得として所得税を支払うことになります。つまりはM&A で所得(利益)を得ると、所得税を支払う必要があるわけです。

4.消費税について

 消費税についてですが、“ 株式譲渡” の場合は資本取引(簡単に言えば物品の販売ではない) なので消費税の対象外ですが、“事業譲渡”の場合は、税法上は普通の資産の売買と同じだと考えられていますので、消費税の対象となり、消費税分8%がON されることになります。従って事業譲渡の場合は、“税込み総額でいくらかかるのか?”ということを、売り手買い手で明確にしておく必要があります。

例えば、1億円でM&A をするといっても、株式譲渡と事業譲渡では実質の金額が異なり、事業譲渡だと1億800万円となりますので留意が必要です。

5.消費税について

 “のれん”について概略を説明します。“のれん”について簡単に言えば、純資産より高い金額で購入( 買収) する場合に、“ のれん” というものが発生することになります。” のれん” は” 営業権” ともいいます。例えば、純資産2億円(資産が時価5億円、負債が3億円といった場合)の会社があったとして、固定のお客様がついているとか、ブランドの価値があるとかで2.5億円で買ったとします。

その場合は、2.5億円と2億円の差額である0.5億円が“営業権”ということになります。そこは貸借対照表の数字で表せない価値でもあります。

 事業譲渡により発生した“営業権”というのは、税務上5年以内に償却が可能です。という事は、純資産より高く投資をした分に関しては、損金として落とすことができるのことになります。となると、買った会社(買収側)が利益を出しているということを前提とすると、この事業譲渡のスキームを使う事によって、投資した金額の一部(売買代金− 純資産)を損金に落とすこともできるというメリットもあります。

平成28年4月号 M&Aにまつわる話

1.事業の承継をする方法のひとつにM&Aという手法があります

 親族の後継者がいれば社長をその後継者に交代をすればいいだけのことですが、いない場合には有力な社員に引き継ぐことも考えられますが、借入がある場合その連帯保証人になる必要がある、株式の取得資金がない等、なかなか難しいものです。そこで、会社を欲しい人に売却することになります。
会社を売るとは、誰が何を売ればいいのでしょうか。その前に会社は誰のものかを理解する必要があります。会社は会計的には株主のものです。社長のものでも、従業員のものでもありません。会社には会社名義の土地や建物、売掛金などの資産もあれば借入金、買掛金などの負債もあります。それらも実は全て株主のものなのです。

2.会社を売るとなれば会社の株を売ればことが済む

 つまり”株式譲渡”の手法です。具体的にいいますと、中小零細企業は一般的には社長一族が株式を持っていますので、一族が株式を譲り受けたい者に売却します。そして社長も退任し、新社長が就任します。これで終わりです。
 その他に”事業譲渡”という手法もありますが、今回は”株式譲渡”についてお話しします。

3.いくらで売買するのか、値決めはどうするのか

 株の価額算定の基本資料となるのが決算書です。時価純資産はいくら?過去の利益は?将来の見込みは?といった要素で価格が決まってきます。そこで、買う方としては、会社の決算書の数字は正しいのか?簿外の負債があるのではないか?等々の検証が必要になります。税理士や公認会計士といった会計の専門家がその検証に携わることになります。法的な問題等の検証は弁護士や司法書士といったその道の専門家が検証します。これらをデューデリといいます。その他雇用をどうするかといったことも売る側(旧社長)にとっては、これまで共に会社を構築してきた社員ですから重要な要素です。

4.M&Aの典型的手法である株式譲渡の税はどうなる

 M&Aには税務の問題は必ず絡むことになります。”株式譲渡”は株の売り買いですのでそこに利益が生じれば税金も生じます。誰に税金が発生し、誰が税金を負担しなければならないのか?といった事を考える時には、誰が利益を稼ぐのか?を考えると、分かりやすいと思います。
 株式譲渡の場合の登場者は売り手・買い手・対象会社となります。株を売った方(個人、会社)が利益を得ます。勿論、買った(投資した)金額より悪い(低い)金額でしか、株を買ってもらえないケースでは利益はないので税金はありません。大部分が株を売った方は利益を得ますので、税金を負担しなければならない訳です。ですので、売り手である元々の株主が税金を納めることになります。

5.いくら負担するのか?法人の場合と個人の場合は違います

 次に、いったいいくら税金を負担するのか?という事ですが、これは法人と個人によって分かれます。
法人が持っていた株を売った場合は、法人税等を負担しますし、個人の場合は所得税等を負担することになります。購入した方には当然ですが特に税金はありません。
 法人の場合は、法人の損益の中に入りますので、この株式譲渡によって儲かった場合は、その他の利益と合計された利益に税金がかかります。株式譲渡の分だけ税率が異なるということはありません。
 一方、個人の場合で、“株式譲渡”の場合は株式の譲渡所得という事になりますので、20%の税金となります。ですので、通常の所得税や法人税とくらべると、税負担はかなり安くなります。
20%を税金として払い、残り80%は手元に残ることになります。

6.消費税について

 次に消費税についてですが、“株式譲渡”の場合は消費税が掛かりません。これは、資本取引ですので、消費税の対象外となっています。

平成28年3月号 決算の時に注意すべき事

決算を迎えるにあたり、最も重要となるのが期間損益という考え方です。
つまり、今期の利益がいくらなのかを計算するわけですから、売上は今年度にあげるべきなのか、経費は今年度のものなのかといった事を重点的に検討することが基本になります。税理士事務所でも確認をしていきますが、間違った資料が出てしまうと間違った決算申告になってしまいます。
以下、留意すべき点を簡記します。

○現金残高の確認

 現金の実在残高と帳簿上の残高が一致しているか否かの再確認をしましょう。特に現金商売のところは動きが大きいので要注意です。金庫残高が多いのは危険ですので、できるだけ銀行に預けましょう。

○売掛金残高の確認

 取引先毎の残高が一致していることを確認します。できれば取引先に対し残高確認書により確認を行うことが望ましいと思われます。確認することでいわゆる不正を防止できます。長期滞留先の状況も確認しましょう。貸倒損になるのではないかの判断の材料として必要です。

○受取手形の確認

 受取手形のうち、裏書譲渡・割引手形を改めて確認し、その所在及び期日を再確認しておきましょう。

○棚卸

 自社の棚卸評価方法を再確認し、必ず実地棚卸を実施しましょう。そしてその棚卸の計算の原始資料(きちんとエクセルに書き写したものだけでなく)も必ず保管しましょう。税務調査で確認されます。併せて、決算時点で適正在庫となるよう仕入の調整を行うことも有効です。期末頃に仕入れた物の確認漏れがないか、別の倉庫に入れている物が漏れていないか等特に注意しましょう。工事業者であれば仕掛工事がないかの再確認を特に期末は綿密に確認しましょう。

○仮払金の整理

 決算を迎えるにあたり、仮払金・立替金などについては、できるだけ整理しておきましょう。

○固定資産の確認

 これまでに計上してある固定資産が実在するかどうかについて、現物と確認しましょう。既に滅失しているものは速やかにその理由を確認し、除却する必要があります。

○買掛金残高の確認

 〆後の仕入について漏れなく計上する必要があります。〆後の仕入については必ず納品書等により確認してください。棚卸との整合性も確認しましょう。

○未払金残高の確認

 期間損益を求めるにあたり、当期発生した経費についても計上する必要があります。買掛金同様に相手からの請求漏れがないか確認しましょう。

○売上高の確認

 〆後の売上についても漏れなく計上する必要があります。万が一にも漏れた場合には、脱税行為となりますので、請求漏れがないかなど充分に注意しましょう。原則、商品製品の引渡しの時、工事の完了引渡の時が売上計上時期です。期末頃の完成で微妙な場合は税理士事務所に相談の上検討しましょう。

○資産計上すべき取引の有無

 備品消耗品費等、固定資産に計上すべき取引が無いかどうかは、月次の段階で確認済みですが、改めて確認し、資産計上すべきものについては計上する必要があります。決算利益に影響しますので、事前に適正な利益検討が出来るようにしておく必要があります。

平成28年2月号 平成28年度税制改正大綱の概要:主に法人税関係をまとめました。

所得税関係は、特に重要な大きな改正はありませんでした。追ってお知らせします。

1.法人税率が引き下げられます。

法人税率が28年度、30年度に引き下げられ、最終的に国と地方を合わせた実効税率が30%を切ります。
現在法人税率は23.9%ですが、 28年4月開始事業年度から(29年3月決算)~30年3月開始事業年度(31年2月決算)まで が、23.4% それ以降の30年4月開始事業年度からは23.2%に引き下げられます。
中小企業の800万円以下の15%という軽減税率は、当面従来のままですが、今後検討されることになっています。

これにより資本金1億円超の会社(普通法人)の実効税率(法人税や事業税・地方税合計)は、 現行32.11%から29.97%になります。
資本金1億円以下の会社は軽減税率がありますので、所得年800万円と仮定した場合、 現行実効税率22.32%ですが、改正後もほぼ横ばいです。

2.外形標準課税が改正されます。

これは大企業のみの税制です。27年度から複雑な税体系となっていますが、またしても改正で、 28年度から法人事業税が引き下げられ、その分地方法人特別税が引き上げられます。

3.欠損金の繰越控除の繰越期間の変更

大企業は繰越限度額が28年4月開始事業年度から60%になり段階的に下がって30年4月開始事業年度は50%と縮小されます。替わりに繰越期間が9年から10年に延長されます。
中小企業は従来通り100%控除できます。繰越期間の延長は中小企業も10年になります。
期間延長は少し先の話で平成30年4月開始事業年度において生ずる欠損金からの適用です。

4.企業版ふるさと納税制度の創設

個人のふるさと納税はすっかり定着したようですが、その企業版が開始されます。
一定の寄付をした場合に通常の損金算入措置に加えて、税額控除ができる制度です。
しかしながら、個人と違い寄付先は対象が限定されます。認定地域再生計画に記載された地方(国が認定します)に対する寄付のみが対象になります。

5.償却資産税の軽減措置の創設

機械等には償却資産税(機械や備品等に対する固定資産税)が賦課されています。
この固定資産税について、中小企業に限り一定の機械装置を取得した場合当初3年課税標準を1/2にする制度が創設されます。
ただし、生産向上計画の策定認定が必要です。一台一基160万円以上等の条件があります。

6.減価償却制度の見直し

平成28年4月以後取得する建物附属設備及び構築物について定率法が廃止され、定額法に一本化されます。

7.消費課税の改正

平成29年4月1日から10%へ引き上げられますが、同時に消費税軽減税率が適用されます。
旧税率が適用される経過措置と合わせて、当分の間5%・8%・10%の税率が混在することになります。
会計システムの変更(TKCシステムは対応します)と、食品小売企業ではPOSの入替の検討が必要です。

2015年12月号 マイナンバーについて

マイナンバーについて

「通知カード」が郵送されています。どうするのだろうという疑問も多いようです。
個人側から見た良くある質問をまとめてみました。

1.マイナンバーを取り扱う場合に何に注意すればいいですか?

マイナンバーは生涯にわたって利用する番号なので、「通知カード」や「個人番号カード」をなくしたり、マイナンバーをむやみに提供したりしないようにしましょう。詐欺が横行しています。マイナンバーの通知や利用、個人番号カードの交付などの手続で、行政機関などが口座番号や口座の暗証番号、所得や資産の情報、家族構成や年金・保険の情報などを聞いたりすることは一切ありません。

2.「個人番号カード」は何に使えるのですか。最初に届く「通知カード」との違いは何ですか?

送ってきた番号の書いた紙が「通知カード」です。申請するのが「個人番号カード」です。個人番号カードは、顔写真のついたカードであり、写真をつけて申請しないと入手できません。無料です。

3.個人番号カードは必要ですか?

通知カードは番号だけ書いてありますので、それだけでは本人のものかどうか確認できません。免許証などをあわせて提示することになります。個人番号カードは写真付きですので間違いないことを1枚で行うことができます。身分証明書としても使用できるわけです。また搭載されているICチップを利用して図書館カードや印鑑登録証など地方公共団体が定めるサービスに利用でき、e-Tax などの税の電子申請等が行える電子証明書も標準搭載されます。

4.個人番号カードの取得の申請はしなければいけませんか?義務なのですか?

個人番号カードは申請により市町村長が交付することとしており、カードの取得は義務ではありません
しかし、個人番号カードは、上記3のような機能がありますので、若い方、お勤めの方は写真付きを持っていたほうがいいでしょう。政府としては、多くの国民の皆様に取得してほしいと考えています。

5.通知カード・個人番号カードのコピーを提出しなければいけませんか?

税務の手続き上、勤めの会社にマイナンバーを知らせることになります。書類には番号を書きますが、正しいかの確認のため、通知カードか個人番号カードを提供しなければなりませんが、そのものをコピーして提出する必要はありません。

6.個人番号カードを申請することで、各人にマイナンバーが付与されると思っていたが?

郵送された通知カードに既にマイナンバーが書いてあります。番号自体を取得する為に申請をするということではありません。申請は上記3に書いているように、写真付きカード(個人番号カード)を欲しい人がするものです。

7.個人番号カードの更新はあるのですか?

20歳以上の場合は10年、20歳未満の場合は5年間が有効期限ですので更新します。写真のない通知カードには有効期限はありません。

8.結婚したら番号変わるのですか?苗字の変更は?

番号は一生変わりません。結婚したら婚姻届出提出時に苗字の変更を行い、市役所から通知がくることになっているようです。(市役所談)

2015年11月号 福利厚生費か給与か?

1.福利厚生費か給与か?

「この費用は福利厚生費でいいのか?給与加算で源泉徴収しなければならないのか?」
よく迷うところです。福利厚生費だと本人の給与とはみないわけですから源泉をする必要はありません。
では、そもそも「福利厚生費」と「給与」の境目とはなんでしょう?
福利厚生費とは、従業員の福利、慰安等のために支出する次のような費用をいいいます。

1 法定福利費

法律の規定によつて支出する健康保険料、厚生年金保険料、雇用保険料などの事業主負担分の金額など

2 その他の福利厚生費

(1)慰安旅行などの費用・・従業員の慰安のための旅行・運動会等の費用で、通常必要とする費用

(2)記念行事などの費用・・開業記念日、国民の祝日、診療所新築記念などに際して、従業員におおむね一律に供される飲食に要する費用

(3)従業員の慶弔費・・従業員やその親族の慶弔・禍福に際し、支給される金品に要する費用

(4)残業食事代・・従業員や事業専従者が、たまたま残業する場合に供する食事に要する費用

例えば、従業員の給料が30万円とします。現金で渡せば、この30万円に対して源泉税を天引きしますので、手取りは減ります。そこで、「従業員の昼飯代は会社で全額負担、毎月5万円かかるとすれば、給料20万円だけど、15万円にすればほとんど税金引かなくていいな」と考えます。これがまかり通ると、税金を払う人がいなくなってしまいかねません。そこで、税の世界では、どれくらいまでなら「福利厚生費」でよいけど、超えたら「給与」とみなします、ということが決まっているわけです。

2.従業員の慰安旅行についてはどれくらいまで「福利厚生費」でOK?

慰安旅行については、次のような取り決めがあります。

  • ■4泊5日まではOK(目的地が海外の場合には、目的地における滞在日数によります。)。
  • 旅行の参加行事が一般的であること
  • 従業員全員を対象とし、旅行に参加した人数が全体の人数の半分以上であること。
  • 自己都合による不参加者に金銭を支給しないこと(もらった人は給与になります)

などの要件を満たしていないと福利厚生費とは認められないとなっています。
永年勤続記念旅行券の支給に伴う課税上の取扱い」では、満25年勤続者に対する10万円相当の旅行券(満35年勤続者に対しては20万円相当の旅行券)については課税しなくてよいとされています。

2.家賃の補助はいくらまで?

使用者が、使用人に対して無償又は低額の賃貸料で社宅や寮等を貸与することにより供与する経済的利益については、一定の額と徴収している賃貸料との差額が給与として課税されます。
 ただし、賃貸料相当額の50%相当額以上を使用人から実際に徴収している場合には、給与としなくて良いことになっています。役員さんは別の取り決めがありますのでご注意を。

3.食事代の補助は?

外から購入した食事を支給する場合、食事代の一部を従業員さん負担させている場合には、その月毎の負担額がその月毎の食事代の50パーセント相当額以上であつて、かつ、その食事代と負担額との差額が3,500円以下であるときは、その差額については課税されないことになっています。
 たとえば、月額18,000円の食事代のうち10,000円を負担させている場合を例にとると、使用人の負担額は食事代の50パーセント以上になるが、その差額(8,000円)は3,500円を超えることになるから、その差額の8,000円は給与として課税されることになります。
 なお、使用人に支給する食事のうち、残業または宿直もしくは日直をする場合に支給する食事については課税しなくて差し支えないものとされています。

4.有効な活用をしましょう。

逆に言えば。「この範囲内であればOK ですよ。」と、国税が事前に認めてくれているのです。その範囲で節税していけばよいのではないかと思います。

2015年10月号 帳簿書類の保存の期間について

帳簿書類の保存の期間について

各種の帳簿、注文書、契約書、送り状、領収書等の書類の保存については、かなりの保管場所を要するところから何か良い保存方法がないかと質問があります。

1.結論、会社法と税法の規定の違い

税法では原則7 年の保存ですが、会社法では帳簿閉鎖の日から10年間となっています。このように、保存期間の目的が会社法と税法では違うのです。したがって

「会計帳簿などは、税法の規定にかかわらず10年間保存してください。」
「領収書や、請求書については、税法に規定する7年間保存してください。」

と答えています。詳しくは下記の通りです。

2.税法では原則7年保存が必要

青色申告法人は、以下の帳簿書類を整理し、7年間保存しなければならないものとされています。

(1)仕訳帳、総勘定元帳等の帳簿並びに資産、負債及び一切の取引に関して影響を及ぼす帳簿

(2)棚卸表、賃借対照表及び損益計算書並びに決算に関して作成されたその他の書類

(3)取引に関して、相手方から受け取った注文書、契約書、送り状、領収書、見積書その他これらに準ずる書類及び自己の作成したこれらの書類でその写しのあるものはその写し

3.マイクロフィルムによる保存も可

帳簿書類については、紙による保存が原則ですが、一定の保存期間を経過したものについては、外部撮影型のマイクロフィルムにより保存することが認められています。ただし機械等の制約もあり、整備コストの問題など現実的には難しいようです。

4.欠損が生じている場合の保存期間の注意

平成23年12月の税制改正により、青色欠損金額の繰越控除期間が7年から9年に延長されたことに伴い、延長された期間に係る欠損年度の欠損金を控除するためには、欠損金額が生じた事業年度の帳簿書類の保存が要件とされました。したがって、青色申告法人の帳簿書類の保存期間としては、今までどおり7年間となりますが、平成20年4月1日以後に終了した欠損金の生じた事業年度においては、帳簿書類の保存期間が9年間に延長されました。

また、平成27年度税制改正により、平成29年4月1日以後に開始する欠損金額の生ずる事業年度においては、帳簿書類の保存期間が10年間に延長されています。

5.電磁的記録による保存方法

自己が電子計算機を使用して作成する帳簿書類で一定の要件を満たすものは、紙による保存によらず、サーバ・DVD・CD 等に記録した電磁的記録(電子データ)のままで保存することができます。

この場合はあらかじめ所轄税務署長に対して申請書(備付けを開始する日の3 月前の日まで)を提出し、承認を受けることが必要です。

6. 一定の書類のスキャナ読取りの電磁的記録の保存方法

保存すべき書類のうち、一定の書類については、紙でなくスキャナ読取りの電磁的記録による保存を行うことができます。なお、スキャナ読取りの保存を行う場合には、あらかじめ所轄税務署長に対して申請書(保存を行おうとする日の3月前の日まで)を提出し、承認を受けることが必要です。

ただし、整備コスト、ランニングコスト面等から現実的には難しいでしょう。

5.重要書類は永久保存を

たとえ保存期間が定められていても、以下のような書類は重要書類として永久保存すべきと考えます。
定款、登記関連書類、免許許可関連書類、不動産関連書類 その他重要な契約書・申請願・届出書 等

2015年9月号 修繕費として損金(経費)にできるか、資産計上して減価償却すべきか?

1.修繕費として損金(経費)にできるか、資産計上して減価償却すべきか?

固定資産について支出した金額が資本的支出に当たるかそれとも修繕費にあたるかについては、迷うところです。事例をもとに具体的に検討してみましょう。
次のような支出は税務上修繕費に認められるでしょうか?という質問です。

  1. 前期末の取得価額50万円の固定資産について、8万円の支出で修繕した。
  2. 前期末の取得価額300万円の固定資産について、25万円の支出で修繕した。
  3. 前期末の取得価額600万円の固定資産について、90万円の支出で修繕した。
  4. 前期末の取得価額800万円の固定資産について、120万円の支出で修繕した。

なお、この120万円には、用途変更のための模様替えのもの70万円が含まれています。

2.「資本的支出」ってなに?

固定資産の修理、改良等のために支出した金額については、その支出金額のうちその固定資産の価値を高め、又はその耐久性を増すこととなる部分の金額が資本的支出となります
とはいってもこれではわかりにくいです。そこで、実務上は、資本的支出か修繕費かの区分については、法人税基本通達において次のように具体的に定められているものがあります。

3.税務上修繕費にできるものを具体的形式的にどう決めてあるのか?

①「少額又は周期の短い費用の損金算入」では、一の修理、改良について修繕費として損金経理をすることができるものを例示しています。
そのなかに、費用の額が20万円に満たない場合は修繕費として損金にしてよいとなっています。
 「その費用の額のうちに資本的支出か修繕費であるかが明らかでない金額がある場合」において、その金額が次のいずれかに該当するときは、修繕費として損金にできるとされています。この適用は明らかでない場合に限りますので注意が必要です。
 (イ)その金額が60万円に満たない場合
 (ロ)その金額がその修理、改良等に係る固定資産の前期末における取得価額のおおむね10%相当額以下である場合
③ 「資本的支出と修繕費の区分の特例」では、資本的支出であるか修繕費であるか明らかでない金額がある場合において、法人が継続してその金額の30%相当額とその修理、改良等をした固定資産の前期末における取得価額の10%相当額とのいずれか少ない金額を修繕費とし、残額を資本的支出とする経理をしているときは、これを認めることとされています。

4.以上のことを参照して、事例について検討します。

(1)については、支出金額が20万円未満ですから、上記①により、全額修繕費となります。
(2)については、支出金額が固定資産の前期末の取得価額300万円の10%相当額以下ですから、上記②の(ロ)により、全額修繕費になります。
(3)については、上記③により、支出金額の30%相当額(90万円×30%=27万円)と固定資産の前期末の取得価額の10%相当額(600万円の×10%=60万円)のいずれか少ない金額である27万円が修繕費となり、残額の63万円(90万円-27万円)資本的支出となります。
(4)については、支出金額のうち70万円は用途変更のための模様替えの費用とのことですから、もともと資本的支出に該当します。
その残額の50万円については、上述の②の(イ)により判定しますと修繕費ということになります。

2015年8月号 相続ってなんだろう

1.相続ってなんだろう

相続人とは、相続財産を受け継ぐ「権利」がある方のことをいいます。ただし、相続財産を受け継ぐ「権利」があるだけで無く、相続人には相続財産を適切に管理する「義務」も負わされています。そのため相続人となる方は、相続財産を何も受け取るつもりがなくても、必ず何らの形で遺産相続の手続きに関わらなければなりません。相続財産といいますが、これには資産(積極財産)のみならず借金(消極財産)も含みます。

2.誰が相続人となるのでしょう

誰が相続人になるかについては、民法で定められています。亡くなった方に近い関係の方から、順番に相続人になるようになっています。
例えば夫が亡くなれば、奥さんと子供が相続人となります。また子供がいなければ、親、兄弟姉妹という順番に相続人となる方が順次変わっていきます。
亡くなられた方(被相続人)の配偶者である夫または妻は、どんなときも相続人となります。
配偶者は、亡くなられた方に子供がいようが親がいようが兄弟姉妹がいようが、必ず相続人となるのです。従って、必ず遺産相続の手続きに参加することになります。

3.相続人には、順番があります

相続人には、優先順位があります。子供→親→兄弟姉妹という順番で相続人が決まります。ただし配偶者である夫または妻は、どんなときでも必ず相続人になります。
つまり順番が1番である子供がいるときは、親と兄弟姉妹は絶対に相続人とはなりませんし、子供と親が同時に相続人となるとか、親と兄弟姉妹、子供と兄弟姉妹という組み合わせも、絶対にないことになります。
従って、誰が相続人となるかは、下記の7パターンということになります。

  1. 配偶者(夫または妻)と子供
  2. 配偶者と親
  3. 配偶者と兄弟姉妹
  4. 配偶者のみ
  5. 子供のみ
  6. 親のみ
  7. 兄弟姉妹のみ

この順番で相続人が決まります。たとえば①の配偶者と子供がいる場合は、親と兄弟姉妹は相続人にはなれません。この7つのパターンの相続人間で、遺産相続の手続きをすることになります。

4.相続人が被相続人より先に亡くなっていたら

血族相続人のうちに、被相続人の子及び兄弟姉妹で、被相続人より先に死亡していたらどうなるでしょう。その時はその子供(孫または甥、姪)が変わって相続人になります。これを代襲相続人といいます。
甥、姪も亡くなっていたら、その子供までもは代襲相続人とはなりません。兄弟姉妹は代襲相続は一代だけという事です。一方、滅多にないと思いますが孫も亡くなっていればひ孫が代襲相続人となります。

5.その他

養子は法律上、実子とみなされますので、相続人となります。
又、認知した子も当然相続人となります。

2015年7月号 今回はふるさと納税について解説します

【知って欲しい税の大切な情報】

【2015年7月号 今回はふるさと納税について解説します。】
ふるさと納税についてお聞きになったことがあるかもしれませんが、意外とその内容を知られていないようです。その概要を解説します。

1.ふるさと納税制度というのは?
 都道府県や市町村に寄付をすると、寄付をした金額のうち2,000円を超える部分が確定申告によって還ってくる制度です。この「寄付」のことを「ふるさと納税」と呼んでいます。なので正確には「納税」ではなく、「寄付」です。

2.2,000円を超える部分は全て所得税・住民税から控除されます。
 例えば、下記の表の例のように30,000円ふるさと納税をすると、2,000円を差し引いた28,000円は所得税・住民税から控除されることになるので、実質負担は2,000円のみです。
ただし、所得や家族構成によって限度額があります。
限度額は所得割額の10%迄でしたが平成27年より、20%にアップされます。
つまり所得の多い人ほど所得割の住民税が大きいので、限度額も大きくなります。
所得によるのですが、一般的な家庭では10万円程度であれば概ね2,000円を引いた98,000円全額が控除になると思っていいでしょう。 

3.多くの市町村では、ふるさと納税をしてくれた方に対して、お礼のギフトを提供しています。
 実質2,000円の負担でそれ以上の地域名産のギフトが提供されています。従って、別の言葉で言い表すと、「自己負担2,000円で全国からお取り寄せギフトをいただける制度」といえます。
 自分のふるさとにしか納税できないと思っている方が多いですが、そうではなくて、どこでも好きな自治体にふるさと納税することが可能です。ギフト目当てでも問題ありません。

ふるさと納税に係る控除額の計算について
4.どういう手続きをするのか
○確定申告が必要です。

 ふるさと納税額を所得税・住民税から控除するためには、ふるさと納税を行った年の翌年3月15日までに確定申告が必要となります。

○給与収入だけの方には、確定申告不要のふるさと納税ワンストップ特例制度が創設(27年分から)
 今まではふると納税を活用するには確定申告が必要でした。そのため、一般的に確定申告が必要のないサラリーマンには使い勝手が悪い制度でした。しかし、平成27年4月1日以後に行われるふるさと納税については5つまでの地方公共団体へのふるさと納税については確定申告不要となります。
ただし、申告は不要ですが、寄付先に特例申請書の提出をする必要があります。寄付先役場から自動的に住所地の役場に書類が送られて、住民税が安くなります。
27年4月以後の寄付分からなのでそれ以前に行った方は従来通り確定申告が必要となります。
確定申告の必要な事業者の方は従来通り確定申告でします。
地方の活性化にもつながりますし、使わないともったいない制度ですので是非ご検討してみて下さい。

2015年6月号 マイナンバーがもうすぐ導入されます

【知って欲しい税の大切な情報】
【2015年6月号 マイナンバーがもうすぐ導入されます】

マイナンバーがもうすぐ導入されます。事業者にとって重要な制度の導入です。このことについて基本的なことをお伝えします。
1.マイナンバーって、何?   何のために導入されるのか?
 マイナンバーは、住民票を有する全ての国民に番号を付して、社会保障、税、災害対策の分野で効率的に情報を管理し、複数の機関に存在する個人の情報が同一人の情報であることを確認するために活用されるものです。
 マイナンバーは、「行政を効率化」し、「国民の利便性を高め」、「公平かつ公正な社会を実現する」為に導入されます。効果としては、大きく3つあげられます。
 1つめは、所得や他の行政サービスの受給状況を把握しやすくなるため、負担を不当に免れることや給付を不正に受けることを防止するとともに、本当に困っている方にきめ細かな支援を行えるようになります。(公平・公正な社会の実現)
 2つめは、添付書類の削減など、行政手続が簡素化され、国民の負担が軽減されます。自分の情報を確認したり、行政機関から様々なサービスのお知らせを受け取ったりできるようになります。(国民の利便性の向上)
 3つめは、行政機関や地方公共団体などで、様々な情報の照合、転記、入力などに要している時間や労力が大幅に削減されます。複数の業務の間での連携が進み、作業の無駄が削減されるようになります。(行政の効率化)

2.自分のマイナンバーはいつわかるのか?
 平成27年10月から、住民票を有する国民の一人一人に12桁のマイナンバー(個人番号)が通知されます。 通知は、市区町村から、住民票に登録されている住所あてにマイナンバーが記載された「通知カード」が送られてきます。

3.マイナンバーはいつから誰がどのような場面で使うのか?
 平成28年1月から、マイナンバーが必要
になります。マイナンバーは社会保障、税、災害対策の中でも、法律や自治体の条例で定められた行政手続でしか使用することはできません。このため、国民は、年金・雇用保険・医療保険の手続、生活保護・児童手当その他福祉の給付、年末調整、確定申告などの税の手続などで、申請書等にマイナンバーの記載を求められることとなります。

4.企業でもマイナンバーを取扱うのか?
 民間企業は、従業員の健康保険や厚生年金の加入手続を行ったり、従業員の給料から源泉徴収して税金を納めたりしています。平成28年1月以降(厚生年金、健康保険は平成29年1月以降) は、これらの手続を行うためにマイナンバーが必要となります。そのため、企業に勤務する方は、勤務先に本人はもちろん、扶養親族である家族のマイナンバーを提示する必要があります。
 逆に、企業は従業員やその扶養親族のマイナンバーを収集することはもちろんのこと、外部の方に講演や原稿の執筆を依頼し、報酬を支払う場合、こうした外部の方からも源泉税が必要ですので、マイナンバーを提供してもらう必要があります。不動産の賃貸料の支払先が個人の場合も同様です。

5.マイナンバーは自由に使っていいのか?個人情報の管理は安全なのか?
 マイナンバーは、社会保障、税、災害対策の手続のために、国や地方公共団体、勤務先、金融機関、年金・医療保険者などに提供するものです。こうした目的以外に他人にマイナンバーを提供することはできません。 他人のマイナンバーを不正に入手したり、他人のマイナンバーを取り扱っている人が、記録された個人情報ファイルを他人に不当に提供したりすると、処罰の対象になります。

6.自分の個人情報がどのようにやりとりされているか確認できるようになります。
 マイナンバーを使って自分の個人情報がどのようにやりとりされているか、ご自身で記録を確認する手段として、平成29年1月から「情報提供等記録開示システム」が稼働する予定です。
情報提供等記録開示システムの機能として、マイナンバーを含む自分の個人情報をいつ、誰が、なぜ提供したのか確認できる機能のほか、以下のような機能が入る予定です。
・行政機関などが持っている自分の個人情報の内容を確認できる機能
・行政機関などから一人一人に合った行政サービスなどのお知らせが来る機能
・行政機関などへの手続を電子的に一度で済ませることができる機能

7.通知カードと個人番号カードの違い
 10月以降に送られてくる「通知カード」は、券面に氏名、住所、生年月日、性別(基本4情報)、マイナンバーが記載されたものになります。 「通知カード」は顔写真が入っていませんので、このカードだけで本人確認をするときには、別途顔写真が入った証明書などが必要になります。本人確認の必要のない顔写真の入ったカードが「個人番号カード」です。

■個人番号カード
 個人番号カードは、表面に写真、氏名、住所、生年月日、性別、裏面にマイナンバーなどが記載されます。平成27年10月以降に通知カードでマイナンバーが通知された後に、市区町村に申請すると、平成28年1月以降、個人番号カードの交付を受けることができます。
 個人番号カードは、本人確認のための身分証明書として利用できるほか、カードのICチップに搭載された電子証明書を用いて、各種電子申請が行えます。
 なお、個人番号カードに搭載されるICチップには、電子申請のための電子証明書は記録されますが、所得の情報や病気の履歴などの機微な個人情報は記録されません。そのため、個人番号カード1枚からすべての個人情報が分かってしまうことはありません。

8.法人番号について
 平成27年10月から、法人に通知される13桁の番号のことです。法人番号はマイナンバーと違い、誰でも自由に使用することができます。
・法人番号をキーにして、法人の名称や所在地の確認が容易になります!
・鮮度の高い名称・所在地情報を入手でき、取引先情報の登録や更新が効率化します!
・複数部署で異なるコードを使用している場合、取引先情報に法人番号を追加すれば、情報の集約や名寄せ作業が効率化します!

2015年5月号 役員への報酬の税務上の注意点

【知って欲しい税の大切な情報】
【2015年5月号 役員への報酬の税務上の注意点】

1.役員への報酬の損金算入は条件付き

 税務上、役員と従業員は厳密に区分されています。なぜなら、中小企業の社長にとって、個人財産も会社のお金も、自由にコントロールできる傾向があるからです。会社の利益が予想以上に出た場合には、役員報酬を支払い、会社の利益を圧縮し法人税の負担を少なくしようと考えがちです。このような課税逃れを防ぐために、役員報酬(給与)に一定の歯止めを掛けています。

 役員に支給される報酬や賞与は、役員給与として税務上の損金算入が制限されています。

 原則として、中小企業には次のいずれかに該当する場合にのみ損金算入が認められます。

(1)定期同額給与…1月以下の一定期間ごとに毎回同額が支給される給与
期の途中に利益が出そうだからと増額すると同額でなくなりますので、増額部分は損金算入が認められません。決算総会にて前もって金額を決めておく必要があるのです。

(2)事前確定届出給与…税務署に支給時期・金額を事前に届出をし、届出通りに支給する賞与等

2.税務上の役員は範囲が広い

 役員という言葉は、一般的に用いますが、法人税法では役員の範囲が広くなります。法人税法上の役員とは、取締役、執行役、監査役、会計参与、理事、監事等会社法などの法律で役員とされている人は当然ですが、形式上は従業員等であっても、法人の経営に従事している人は役員として扱われます。例えば、相談役や顧問という名称で会社の経営に実質的に従事している人も役員と見なされます。

 ほかに、同族会社(同族株主によって、50%超の株式等を所有されている会社)については、使用人(従業員)のうち、一定の要件を満たしている人が、その会社の経営に従事している場合には、役員とみなされます

 社長の親戚が会社に勤めている場合などは、税務上のみなし役員に該当するケースがあるため注意が必要です。なかでも、オーナー社長の奥さんは、会社の株をまったく持っていない場合でも、持株割合の要件を満たしてしまうことになり、取締役に登記していなくても役員とみなされる可能性が高いでしょう。

3.平取締役に対する賞与は損金算入される部分もあります

 役員に対する賞与は原則として損金不算入ですが、例外的に損金算入が認められるケースがあります

 例えば取締役営業部長とか使用人としての職務を有する役員に対し、使用人としての職務に対する賞与を、他の使用人に対する賞与の支給時期に支給する場合に、損金算入が認められるというものです。これを、使用人兼務役員に対する賞与といいます。

4.過大な役員報酬は損金算入できません

 役員報酬について、不相当に高額な部分の金額は損金算入が認められません。いくら以上の役員報酬が「不相当に高額」とされるのかですが、判断基準には、形式基準と実質基準の2つがあります。

 実質基準は、役員の職務の内容・会社の収益・使用人に対する給料の支給状況・事業規模が類似する同業他社の役員報酬の支給状況に照らし、役員報酬として相当であると認められる金額以内となっていることです。中小企業の中には、オーナー社長の家族が名目上の役員になっているケースがあります。このような場合には、職務の内容を勘案した金額しか損金算入は認められないでしょう

 形式基準は、株主総会等の決議(又は定款の規定)により定めている報酬限度額以内となっていることです。役員報酬を株主総会などで決議しておくことが求められます。決議が無ければ、これを支給することはできません。通常は、役員報酬の上限額を決議します。役員の増員などで役員報酬の総額が、以前決議した上限額を超えそうな場合には、上限額を引き上げる決議を行いましょう。うっかり忘れると、役員報酬の損金算入はされません。

5.こういう場合も役員賞与を支給したとされます

 役員賞与は、損金の額に算入されないのですが、注意したいのは、役員賞与として支給した認識がない場合でも、役員賞与に該当すると判断されることがあるということです。例えば、役員等に対して物品その他の資産を贈与した場合などは、現金を支給していなくても、経済的利益を供与したことになります。この経済的利益は一般的に臨時的な供与ですので、役員賞与となり損金算入されません。もちろん受けた役員には所得税がかかります。

2015年4月号 相続税に備え生前贈与を上手に活用しましょう

【知って欲しい税の大切な情報】

【2015年4月号 相続税に備え生前贈与を上手に活用しましょう】

相続税に備え生前贈与を上手に活用しましょう
相続税の対策として相続財産を早めに相続人に贈与するという方法があります。
税金がかからない贈与の制度の活用を整理してみました。
1.110万円迄の贈与は非課税
最もポピュラーな制度ですので是非活用したいものです。わずか110万円といえども、2人に10年贈与すれば2,200万円にもなります。相続時には既贈与の金額が加算されることはありませんが、3年以内の贈与に関しては加算しなければなりません。従って早くするにこしたことはないのです。年々評価が上がる自社の株式の後継者への贈与等に有効です。

2.住宅取得資金の贈与の非課税制度
直系尊属(祖父母、親)から子への住宅取得の為の資金贈与の非課税制度です。
27年は一般住宅で1,000万円迄非課税です。例えば子供夫婦共々それぞれの直系尊属(祖父母、親)から1,000万円ずつ贈与してもらえば2,000万円を非課税で贈与を受けることが出来ます。
28年からは徐々に金額が減ります。消費税10%では増額になります。31年6月まで適用されます。大きな贈与で相続財産を減らすことができ、3年以内でも相続税の対象財産に加える必要はありません。

3.配偶者に対する居住用住宅の生前贈与の非課税制度
配偶者に対しての大きな金額の非課税贈与の制度です。条件は婚姻20年以上であること。居住用の土地建物であることです。2,000万円迄非課税です。配偶者に大切な住まいを相続発生前に贈与しておくことが出来ます。3年以内でも相続税の対象財産に加える必要はありません。

4.「相続時精算課税制度」による非課税制度
相続や贈与を検討されている人は、この制度の利用を検討してみましょう。
○この制度は、一定の条件のもとに2,500万円までの贈与が非課税になります。
60歳以上の父母や祖父母から20歳以上の子孫に贈与する時に適用できる手続きです。
 住宅取得資金の贈与に限っては父母祖父母の年齢制限はありません。
○相続の前倒しなので相続人への贈与のみが対象で第三者への贈与は対象になりません。
○この制度を使うとその贈与者からの贈与については110万円の非課税制度は使えません。
○この制度は、その名前の通り相続の前倒しであり、「相続時には遡って精算課税する制度」です。
つまり、この制度を使って生前贈与を受けた場合でも、相続時にはその金額が加算されて相続税が計算されます。加算する金額は贈与の時の評価額です。いざ、相続の時に例えばその建物が古くなって価値がなくても、昔贈与したときの評価額になるのがデメリットです。しかし逆の場合はメリットになりますので、値上がりしそうな財産を贈与することが得策です。
○2,500万円を超えると超えた部分に20%の贈与税がかかります。その税金は相続の時に精算されます。
 相続時精算課税制度を利用するかどうかは、相続時の相続財産の額、将来予測、親族の事情によってケースバイケースです。
特に相続税申告が将来発生する見込みがないのであれば利用は有効です。

5.贈与税の教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置
受贈者(30歳未満の者に限る)の教育資金に充てるためにその直系尊属(親や祖父母等)が金銭により金融機関、銀行等金融商品取引業者に信託等をした場合には、受贈者1人につき、1,500万円までの金額に相当する部分の価額については贈与税を課さないこととする。という内容です。
適用されるのは平成25年4月1日から平成31年12月31日までの間に拠出されるものに限ります。
親の教育資金は一般的に子供の教育費生活費を負担する扶養義務者としてあたりまえですので、現在でも通常の資金は非課税です。従って、この贈与の対象になるのは一般的には祖父母から孫への一括先払い贈与に有効です。
受贈者(子や孫)が30才までOKです。その時口座にまだ使い切っていない残金があれば、残りは贈与税がかかります。 相続開始前3年以内に贈与を受けた財産の価額として相続税の対象財産に加算する必要がないので相続財産の縮小には大変有効な制度です。

6.子や孫の結婚・出産・育児に要する資金の一括贈与に係る非課税措置
27年から新しく創設されました。20才以上50才未満の子や孫への一括贈与を一人当たり1,000万円迄非課税にするというものです。受贈者が50才に達した時に使い残しがあれば使い残し分に対して贈与が課税されます。受贈者死亡した場合は、その時点で使い残した分に対して相続税が課税されます。
結婚資金などをその都度贈与して(親が負担)も贈与税はかかりませんが、この制度はあくまで事前に一括して贈与することが前提です。早めに贈与しておきたいときに有効です。

7.相続開始前3年以内の贈与は相続税の課税財産への加算する必要有り
亡くなった時、原則として、相続財産の価額に以前贈与した贈与財産の価額を加算する必要はありません。ただし、相続開始前3年以内に贈与を受けた財産の価額は加算しなければなりません。配偶者への居住用財産贈与等、3年以内でも加算する必要のない贈与税の非課税制度を有効に活用しましょう。

2015年3月号 平成27年度税制改正大綱 特に関連ある項目について

【知って欲しい税の大切な情報】
【2015年3月号 平成27年度税制改正大綱 特に関連ある項目について】

改正税法については概略を前回お知らせしました。
再度、特に関連ある項目をピックアップしてお知らせします。

【個人所得課税】
○ 住宅ローン減税等の適用期限の変更 (平成29年12月31日まで⇒平成31年6月30日まで)。
住宅ローン減税の拡充等の措置について、その適用期限が31年6月末まで延長されます。
消費税8%で取得する住宅については
最高限度額 住宅借入金の4,000万円まで1.0%=40万円 を10年間 計400万円
税額控除する制度です。消費税10%になった時は5,000万円までに増額されます。

【資産課税】
○ 住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置の延長・拡充
適用期限が26年末でしたが、31年6月まで延長されます。 消費税8%時代は
一般住宅の場合、非課税限度金額は27年12月迄は1,000万円
29年9月迄は700万円となります。子や孫への住宅取得のための資金援助に活用して下さい。

○ 子や孫の結婚・出産・育児に要する資金の一括贈与に係る非課税措置を新設
20才以上50才未満の子や孫への一括贈与を一人当たり1,000万円迄非課税にするというものです。
受贈者が50才に達した時に使い残しがあれば使い残し分に対して贈与税が課税されます。
受贈者が死亡した場合は、その時点で使い残した分に対して相続税が課税されます。
 具体的な手続きは教育資金一括贈与と同じように金融機関に口座を開設し、受贈者はお金を引き出す度に目的にかなった使用かどうかの確認のため領収書を金融機関に提出することになります。
 結婚資金などをその都度贈与して(親が負担)も贈与税はかかりません。この制度はあくまで事前に一括して贈与することが前提です。果たして、利用は進むのでしょうか。

【法人課税】
○ 成長志向に重点を置いた法人税改革 → 法人税率の引下げ等 
法人課税

○中小企業(資本金1億円以下の法人)の場合、所得金額800万円以下は15%(本則19%)と軽減されています。この措置は29年3月31日まで2年間延長されます。
 例)中小企業で所得1,000万円の場合
現行 800万円×15%+200万円×25.5% = 171万円
改正後800万円×15%+200万円×23.9% = 167.8万円

○欠損金繰越控除の見直しと、欠損金の繰越期間を延長
大法人の控除限度 現行:所得の80%⇒27年度:65%⇒29年度:50%と使える額を縮小します。中小法人は従来通り100%です。また、欠損金の繰越が現行の9年から10年に延びます。平成29年4月1日以後開始する事業年度に発生した欠損金から適用されます。中小法人にとっては有利です。

2015年2月号 平成27年度税制改正大綱の概要:主な内容をまとめました。

【知って欲しい税の大切な情報】

【2015年2月号 平成27年度税制改正大綱の概要:主な内容をまとめました。】
 デフレ脱却・経済再生
をより確実なものにすべく、成長志向に重点を置いた法人税改革、高齢者層から若年層への資産の早期移転を通じた住宅市場の活性化等のための措置、企業の地方拠点強化、結婚・子育ての支援等の措置、消費税率の10%への引上げ時期の変更等の内容です。

【個人所得課税】
○ NISAの拡充
 ・ジュニアNISAを創設(20歳未満の者の口座開設を可能に。年間投資上限額80万円)。
 ・投資上限額を引上げ(年間100万円⇒120万円)。
○ 住宅ローン減税等の適用期限の延長
 ・住宅ローン減税の拡充等の措置について、その適用期限を1年半延長(平成29年12月31日まで⇒平成31年6月30日まで)。
○ ふるさと納税の拡充
 ・特例控除額の拡充(上限:個人住民税所得割額の1割⇒2割)。
 ・申告手続の簡素化(確定申告不要な給与所得者等がふるさと納税を行う場合、ワンストップで控除を受けられる仕組みを導入)。

【資産課税】
○ 住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置の延長・拡充
 ・適用期限を延長した上で拡充(非課税枠:1,000万円⇒最大3,000万円)。
○子や孫の結婚・出産・育児の資金の一括贈与に係る非課税措置を創設(非課税枠:1,000万円)。

【法人課税】
○ 法人税率の引下げ等 中小法人の800万円までの軽減税率15%は2年延長(→29/3)です。

法人課税

・課税ベースの拡大等
 -欠損金繰越控除の見直し 中小企業は適用ありません。
 (大法人の控除限度 現行:所得の80%⇒27年度:65%⇒29年度:50%)
 -繰越欠損金の繰越期間の見直し 29年4月開始事業年度から10年(現行9年)に延長。
 -受取配当等益金不算入の見直し
 (現行:持株比率25%未満は50%、25%以上は100%益金不算入
   ⇒5%以下は20%、5%超1/3以下は50%、1/3超は100%益金不算入)
 -法人事業税の外形標準課税の拡大 税率のアップ
・所得拡大促進税制等の見直し
 -給与等支給増加割合の要件の見直し 3,4,5%と上げる予定でしたが中小は3%までです。
 (現行:基準年度比27年度+3%→28年度+5%→29年度+5%
 ⇒27年度+3%→28年度+4%(中小+3%)→29年度+5%(中小+3%))
 -法人税の所得拡大促進税制の要件を満たす場合に、法人事業税(外形標準課税)において、給与等支給額の増加分を付加価値割の課税ベースから控除する制度を導入
○ 租税特別措置の見直し
 ・研究開発税制の見直し(控除限度額の総枠は「法人税額の30%」を維持しつつ、特別試験研究費の控除限度を別枠化(5%)。限度超過額の繰越制度を廃止)
 ・生産等設備投資促進税制の廃止 (特別償却は現行期限29年3月31日となっている)
 ・太陽光発電設備の即時償却の廃止 (現行期限27年3月31日となっている)

【消費課税等】
○ 消費税率10%への引上げ時期・平成27年10月1日から平成29年4月1日へと変更。
○ たばこ税(旧3級品)の見直し
 ・旧3級品(しんせい、エコー等)の紙巻たばこに係る特例税率を段階的に縮減・廃止。
○ 車体課税の見直し
 ・エコカー減税(自動車重量税・自動車取得税)について、減免税車の対象範囲を見直した上で、適用期限を2年延長。
 ・軽自動車税について、平成27年度に新規取得した一定の環境性能を有する軽四輪等について、その燃費性能に応じたグリーン化特例(軽課)を導入。
○ 銀行等に対し預貯金情報をマイナンバーにより検索可能な状態で管理することを義務づけ。

税務お役立ち情報 平成26年

税務お役立ち情報 平成25年