所長おすすめの本 令和4年

BOOKS
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この本良かったですよ


令和4年12月号 『壊れ窓理論の経済学』 光⽂社刊 マイケル・レヴィン著

町の中の⼀枚の壊れた窓が修理されないままでいると、その町全体がいつの間にか無法地帯化し、犯罪が起こってくる、というのです。道にゴミが捨ててあるといつの間にかその場所にゴミが捨てられていくという光景は経験があると思います。会社に置き換えればこの壊れ窓は、汚れたトイレであったり、従業員の無愛想な態度であったりするわけです。その基本的なことができていないことで、事業全体の業績を押し下げる要因になっているのです。我が社にこの壊れ窓はないだろうか。気づいたら即、修理・対処しなければなりません。⼩さなことへのこだわりがビジネスの成功につながることを説いています。


令和4年11月号 『⼈の⼼を動かす⽂章術』 樋⼝裕⼀著 草思社刊

若い⼈たちがスマホで会話する。その⾔葉は簡略化されとても⽇本語とは思えない、そんなテレビ番組があっていました。⾃⼰表現ができない、コミュニケーション能⼒の希薄な若者が増え、結果社会性を持たないゆがんだ若者を増やす原因になっているといわれます。本を読まない、活字を⾒ないので、論理的な思考が希薄になっている気がします。結果⽀離滅裂な⽂章しか書けません。著者は⽂章による⾃⼰表現の⼤切さを⾔っており、それを多くの⼈が読むことで新しいものの⾒⽅、新しい感じ⽅を知って、しっかりとした⾃分を保つことができるという。そのことで平和で楽しい豊かな世界を築く原動⼒になると説いています。


令和4年10月号 『ランチェスター戦略⼊⾨1』 ⽥岡信夫著 ビジネス社刊

ランチェスター戦略については多くの経営者の⽅が学んだか、そこまでないにしても聞いたことがあると思います。この書は50年前に初版が出ており、私のは58刷⽬です。それほど読み継がれているのですから、いかに世の経営者に影響を及ぼしているかがわかると思います。経営戦略を科学的に進めるためのノウハウが満載です。書かれたのは50年前とはいえ今でも⼗分に通⽤します。私もずいぶんランチェスター戦略関連書を読ませていただきました。経営戦略は⼀つではありません。強者の戦略、弱者の戦略があるのです。⾃社はどちらに位置するのか、それをわかって取り組むことで効果は違ってきます。しかも、数字というデータを使い科学的にです。もしビジネスリーダーとして、ランチェスター戦略にふれたことがないとすれば、⼀度は読んでみる価値があります。


令和4年9月号 『つぶれない会社のリアルな経営経理戦略』前⽥康⼆郎著 クロスメデア・パブリッシング刊

⼀度紹介した本かもしれませんが、コロナ後の経営戦略の参考にしていただければと思います。帯書きにこうあります。「優秀な経理を雇い、形ばかりでない税理⼠とともに、現実の数字を受け⼊れ正しい経営判断をする。この3つさえ守れば、会社はつぶれることはまずありませんし、つぶれかかっても会社は必ず⽴ち直ります。」と。経理部⾨などのバックヤードの⼿薄な会社は⾮常に危険な会社です、とは⾔っても⼈材の余裕もない会社もあるでしょう。その対策として経営者から新⼊社員まで、経営と経理の基本的知識を持っておくことが重要です。経営者の夢をまたは将来を頭の中に置くだけではなくそれを数字に落として⾒える化し、そしていち早く実績を把握し課題を⾒つけ、解決していく。地味な作業の繰り返しですが、これが企業をつぶさない⼿法なのです。お役⽴ち情報満載ですのでぜひお読みいただきたい内容です。


令和4年8月号 『渋沢栄⼀ 巨⼈の名語録』本郷陽⼆著 PHP ビジネス新書刊

ご承知の通り、渋沢栄⼀は近代⽇本の発展のために⼒を尽くした⼈物です。関与した企業は500社ともいわれます。幼少期から「論語」を読んで育っており、その著「論語と算盤」は有名です。その渋沢の名⾔が集められています。述べられている⽣き⽅、企業の経営の要諦は、実践者の⾔葉であるからこそ重みがあるし、強く⼼に響きます。⼀つ紹介します。「事務職にはどのような性格の⼈が最も適任かと問われたら、私は常識が完全に発達した⼈と答えるだろう。」納得し、改めてかみしめました。


令和4年7月号 『能⼒を伸ばす四つのポイント』 ⽴花均著 ぺりかん社刊

もっと能⼒が伸ばせないかな、もっと学んだ知識が⾝につかないかな、と思っているのですが、ある機会に、著者の講演をじかに聞いて、なるほどと納得したのでした。早速著書を購⼊しました。私もこの年になってこの本の内容を実践しています。確かに効果を感じています。要は基本を⼤切にするということです。学⽣のお⼦様がおられるのであれば是⾮お読みいただき実践されることをお勧めします。勉強からスポーツまできっと成⻑します。


令和4年6月号 『世界のニュースを⽇本⼈は知らない』 ⾕本真由美著 ワニブックス刊

巷に世界の情報が流れています。われわれ⽇本⼈は、その情報でもって世界はこうなんだろうと判断しています。テレビも「⽇本⼈のすごさ」みたいな番組がうけており、そうなんだと思ってしまいます。しかし実際は⽇本⼈は世界からどう評価されているのでしょうか。実は少⼦化で下り坂の国であり、予測できた課題を先送りしてきた国である、と先進国から厳しい⽬で⾒られているのです。世界のニュースも、ほんの⼀部だけで、実は何もわかっていないのだということをわかる内容です。


令和4年5月号 『指導者の条件』 松下幸之助著 PHP 研究所刊

経営者は経営者である⼀⽅で指導者たる⽴場でもあります。経営の⾏き詰まりの時それをどう突破するかを考え、社員の成⻑をどうアシストするか、社員の⼈⽣をいかにして幸せな⼈⽣にできるかをも考え課題は尽きません。そういった場⾯で、特に松下幸之助の著は⼿に取ってみたくなります。この書は50年ほど前に書かれたものです。経営者に強さを求めています。私は42ページに書かれた「感謝する」の項⽬を何度も読みます。「指導者は何事に対しても深い感謝報恩の念を持たねばならない、これが極めて⼤事なことだ。」と説いています。102ある項⽬⼀つ⼀つをじっくり読めば、その時々の⼼境に刺さってきます。


令和4年4月号 『⾃分が源泉』 鈴⽊博著 創元社刊

著者は⻑年にわたり特に経営者の⽅々に⼈間成⻑のためのトレーニングを指導されています。ややもすれば経営上のみならず私的なことでも、何か問題が出てきたときに、ついつい⾃分以外にその原因を求めてしまおうとする⾃分がいることがあります。著者は「物事の始まり」は「⾃分が源泉」なのだと説きます。すべての結果は⾃分が作っているのです。そういう⽴場をとれば、⽣じた結果や出来事に対し、今⼀度冷静に向き合うことが出来るのではないでしょうか。課題を克服するパワーは⾃分の⼿元に存在するのです。ビジネスリーダーとしての⽣き⽅・考え⽅を⾒直すことが出来る内容です。


令和4年3月号 『植物はなぜ動かないのか』 稲垣栄洋著 ちくまプリマー新書刊

園芸をやっていると植物のことが気になり⼿にした本です。多少マニアックなのでタイトルに興味がある⽅に読んでいただけたらと思います。⾃然界は弱⾁強⾷なのですが、実は植物たちも実に巧妙な戦略で⽣きているのです。考えてみれば動物は動くことで⾷料の狩りができるし、⾷料にならないように逃げることもできます。しかし植物は⼀定の場所でじっとして逃げも隠れもできません。そんな中ちゃんとその⼦孫を残し、なわばりを維持しているのです。その戦略は?戦術は?聞くだけで興味をそそるとは思いませんか?その⽣き⽅が気になる⽅はぜひ読んでみてください。⼈⽣に役⽴つかもしれません。