| 令和8年5月号 | 交際費は、税務調査で重要視されやすい |
| 令和8年4月号 | 相続税対策-生前贈与と留意点- |
| 令和8年3月号 | 令和8年度の税制改正2-消費税の主な項目を抜粋して- |
■交際費は、税務調査で重要視されやすい科目の一つです。
なぜならば、交際費は「プライベートな支出」と「業務上必要な経費」の線引きが曖昧になりがちなためです。例えば、役員や従業員との食事代が本当に業務上の接待や顧客との関係構築のためだったのか、それとも個人的な会食だったのか、税務調査官は、交際費が適切に業務目的で使用されているか、厳しくチェックします。領収書はもちろん、適切な証拠書類を保管しておくことが重要です。資本金が1億円以下の中小企業の場合、交際費が損金として認められる金額の限度は800万円までです。とはいっても、交際費と認められないと、損金にはなりませんので注意が必要です。
交際費とは、取引先や事業関係者との関係を維持・強化するために支出する費用であることを、しっかり頭に入れましょう。
1.交際費になるもの
以下のような支出が、一般的に交際費に該当します。ポイントとして、これらは「事業活動を円滑に進める目的」で支出されることが条件です。取引先や事業関係者との商談や情報交換が行われる場合が典型例です。
〇接待費:取引先や事業関係者との飲食や会食費用
〇慶弔・贈答品費用:取引先や事業関係者への中元、歳暮、記念品などの贈り物、慶弔費
〇行事費用:取引先や事業関係者を招いたパーティーやイベントの費用
〇飲食費用:取引先や事業関係者との打ち合わせを兼ねた食事代
2.交際費にならないもの
以下のような支出は、交際費として認められません。
〇友人や家族といったプライベートな関係の人との食事会など、個人的な支出
〇取引先との個人的な交際:ゴルフや旅行など、業務に直接関係しない個人的な交際
交際費として認められるかどうかは、その費用の目的や内容によって判断されます。業務に直接関係しない費用や個人的
な費用は、交際費として認められません。
3.交際費が否認された場合は追徴課税のリスクがある
税務調査で交際費が否認された場合、追加で納税しなければならないリスクがあります。否認された交際費は損金として認められず、課税所得が増えるため、追加の法人税が発生します。また、それに加えて過少申告加算税はもちろんのこと、悪質だと重加算税といったペナルティが科される可能性もあります。
4.交際費として認められるための対策
事業に関連する参加者や明確なビジネス目的であることが求められるため、例えば飲食費の領収書には参加者名や会合の目的を必ず記載しておきましょう。書いていないと確実に否認されると思ってください。慶弔費も案内などを保存しておきましょう。ビジネス活動に比例しない頻繁かつ高額な交際費は、税務調査の対象になりやすいです。特に同じ取引先に対して常に高額な交際費が発生している場合、ビジネス上の必要性をしっかり説明できないと否認される可能性があります。記録を詳細に残し、必要性と内容を明確に説明できるようにしておきましょう。
相続税対策として、最も重要なのは支払う相続税を確保することです。生命保険が最も有効な資金対策です。次に生前贈与は有効な手段です。生前贈与により、相続時の財産を減らし、結果として相続税の負担を軽減できます。今回はその贈与について、留意点も含めてお話しします。
1 贈与税の課税方式は2つある
贈与税には「暦年贈与課税」と「相続時精算課税」の2種類があり、贈与者と受贈者の関係性や財産額によって最適な方法が異なります。複雑なので、当事務所とよく検討して使うことをお勧めします。
■暦年贈与課税
①年間の贈与額が110万円以下の場合、贈与税はかかりません。
110万円の基礎控除は、贈与を受ける人ごとに適用されます。例えば、3人にそれぞれ110万円ずつ贈与すると、合計330万円が非課税になります。ただし、税制改正により、2024年1月以降に行う贈与については相続開始前7年以内の贈与が相続税の課税対象に持ち戻されることになりました。なので、できるだけ早くから贈与するほうがいいです。
②留意すべき点は、子に預金を贈与してもそれが名義預金と疑われないようにするということです。できれば贈与契約書を作成し、子の預金に振り込み、印鑑は当然親と異なっており、預金通帳は子のもとにあり、子が自由に使える状態にしておき、実際子が出し入れに使っていれば名義預金と疑われることはないでしょう。
■相続時精算課税
①60歳以上の父母または祖父母から18歳以上の子や孫への贈与が対象で、2,500万円まで贈与税が非課税です。
非課税枠を超えた分は一律20%で課税されます。選択には「相続時精算課税選択届出書」の提出が必要です。
2024年(令和6年)からは税制改正により、この2,500万円の特別控除とは別に、年間110万円の基礎控除が創設されました。この年間110万円以下の贈与は、贈与税の対象にならず、確定申告は不要です。相続財産への加算も不要です。
②この制度には留意点がたくさんありますのでよく検討して使うかどうかを考えましょう。
留意点その1:贈与した財産の評価額は、相続時に相続財産に加算され相続税が計算されます。つまり、60歳でこの制度で子に2500万円贈与したとすれば、30年後90歳で亡くなって相続が発生したときその2500万円は持ち戻して相続財産になるということです。つまり長期にわたり管理が必要だということです。なので、相続が近いと想定される超高齢者には、相続時精算課税制度の活用がおすすめです。年間110万円の贈与であれば、相続財産に持ち戻す必要がないためです。
留意点その2:贈与時の評価額が相続税申告時に加わるため、不動産や株式など、将来値上がりが期待できる財産の贈与に有効です。低くなる可能性のある財産だと不利になります。贈与した家を取り壊していても加える必要があります。
留意点その3:一度選択すると暦年課税に戻せません。母から暦年贈与、父から相続時精算と贈与者ごとに選択可能。
生前贈与には、特定の目的を持つ贈与に対して非課税となる特例もありますので、有効に活用しましょう。
① 子や孫への住宅取得等資金の贈与。 住宅の購入や新築費用等を贈与する際に利用できます。省エネ等住宅の場合には1,000万円まで、それ以外の住宅の場合には500万円までです。申告は必要です。
② 夫婦間の特例 婚姻期間が20年以上の夫婦間で、居住用不動産または不動産取得資金を贈与する場合、最大2,000万円までが非課税になります。特例適用のためには申告が必要です。
③ 夫婦や親子、兄弟姉妹などの扶養義務者からの生活費や教育費の支援。 1年分を一括して贈与するのはだめです。あくまでその都度資金援助してください。例えば入学金とかを負担するとかです。
令和8年度税制改正として、前号で所得税と法人税の改正の主な項目をお知らせしましたが、今回は消費税の改正事項です。インボイス制度における消費税の経過措置が見直され、期限の延長や控除割合の緩和が行われました。(詳細は事務通信別紙の税制改正のポイントを合わせてご覧ください)
■適格請求書発行事業者に係る税額控除の経過措置
免税事業者からインボイス発行事業者になった場合の納税負担を軽減する措置がありますが、それが改正されます。
ただし個人事業者のみです。
●2割特例の延長と3割特例
〇現行の2割特例(売上にかかる消費税額の2割を納税)は、令和8年9月30日で終了します。
〇2割特例の対象だった個人事業者に限り、令和9年分と令和10年分は、納税額が売上にかかる消費税額の3割となる「3割特例」が適用されます。
〇法人には3割特例は適用されません。
〇3割特例の適用に事前の届出は不要で、確定申告書への付記のみで可能です。
■免税事業者からの課税仕入れに係る経過措置
インボイス制度導入後、免税事業者からの仕入れは原則として仕入税額控除ができませんが、80%は仕入れ税額控除ができ、令和11年10月で終了することになっていました。この負担を軽減する経過措置が延長・緩和されます。
その時期になったらTKC会計ソフトは適法に改正されますのでご安心ください。
●控除割合と期間(現在):
これまでは免税事業者からの仕入れは80%控除ができました。これが令和8年9月30日で終了し、50%に引き下げられ、令和11年10月で終了することになっています。これが下記のように変更されます。
●控除割合と期間(改正案):
〇令和5年10月1日~令和8年9月30日: 仕入税額相当額の80%
〇令和8年10月1日~令和10年9月30日: 仕入税額相当額の70%
〇令和10年10月1日~令和12年9月30日: 仕入税額相当額の50%
〇令和12年10月1日~令和13年9月30日: 仕入税額相当額の30%
〇この変更で今までよりは有利になります。
●年間適用上限額:
〇多くの企業に関係はありませんが、上記の制度は1免税事業者あたりの年間上限額があります。従来の10億円から1億円に引き下げられます。令和8年10月1日以後に開始する課税期間から適用です。
●機械備品等の購入予定あれば4月以降にしたほうが有利です。
前号にお知らせしましたように、中小企業者等(個人事業も含む)の少額減価償却資産の金額が引き上げられます。現在30万円未満は損金にできますが、8年4月1日以降取得分から40万円未満に引き上げられます。年間総額300万円までは変更なしです。
2025年12月19日に与党によって「令和8年度与党税制改正大綱」として決定されました。高市政権下での今回の税制改正は、「強い経済」の実現を目指し、物価高への対応や「年収の壁」対策、大胆な設備投資の促進などが主な焦点となっています。ただし現段階では国会で議論中であり、税制改正大綱がそのまま決定するとは言えませんが、まず所得税関係と法人税関係の概略をお知らせします。
【所得税関係】
(1)7年分に続き、基礎控除のさらなる引き上げ
基礎控除について、7年分から合計所得金額が2,350万円以下である個人の基礎控除額を10万円引き上げ58万円となりましたが、8年分はさらに4万円引き上げられ62万円となります
令和8年・9年の2年間は、時限措置としてさらに上乗せされ最高104万円になります(所得金額で変わる)。
(2)7年分に続き、給与所得控除のさらなる引き上げ
給与所得控除について、7年分から55万円の最低保障額を65万円に引き上げられましたが、8年分からさらに引き上げられ、令和8年・9年の2年間は65万円から69万円になり,給与収入220万円以下の場合+5万で74万円になります。
(3)課税最低限 給与収入178万円へ引き上げ
「年収の壁」に対応し上記(1)と(2)により給与収入の場合178万円(基礎控除104+給与所得控除74)までは税金がかからないことになります。
*この改正に伴い、同一生計配偶者や扶養親族の所得要件も4万円引き上げられ、58万円から62万円になります。
(4)適用はいつから
8年分からの適用ですが、実務的には今年の年末調整でします。給与の源泉税は8年分を使います。
*給与システムPX利用の方は自動計算しますので心配ありません。
【法人税関係】
(1)大胆な設備投資促進に向けた税制措置
「特定生産性向上設備等投資促進税制(仮称)」が創設されます。中小企業は5億円以上の設備投資などした場合、特別減価償却や、税額控除を受けられるようになります。
(2)賃上げ促進税制の見直し
賃上げ促進税制は、中小企業は残りますが、資本金1億円以上の企業のうち中堅企業は9年3月末で廃止、大企業は8年3月末で廃止されます。
(3)中小企業者等の少額減価償却資産の金額引き上げ
現在30万円未満は損金にできますが、8年4月1日以降取得分から40万円未満に引き上げられます。
年間総額300万円までは変更なしです。機械備品等の購入予定あればご検討を。
(4)使用人の食事代の非課税限度額が引き上げられます。
現行月額3500円が7500円に引き上げられます。夜食代も1食300円から650円井引き上げられます。
(5)企業グループ間取引の書類等の整備が義務付けられる
企業グループ間の取引にあたり、その金額の計算根拠や契約資料の保存が義務付けられます。これまで国外取引についての取り扱いでしたが、国内取引についても厳しい取り扱いになります。