所長おすすめの本 令和5年

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この本良かったですよ


令和5年12月号 『利⼰で会社をつぶすアホ社⻑・利他で会社をつなぐできる社⻑』」Clover 刊 鈴⽊世⼀著 

事業の承継は、社⻑にとって⼀番の課題です。後継者に会社を引き継ぐことは、社⻑の信念や哲学を引き継ぐことになります。⾃分のことよりも会社を優先するのが⼀流社⻑であり、会社よりも⾃分を優先してしまうのが三流社⻑です。そして得てして会社をだめにするのは⾃分が正しいとしか思わない社⻑です。そのことで誰にも信頼されないのです。いつまでもオレがオレがでは企業は続きません。⼀流社⻑は、会社の成⻑のために⼒をつくしてくれた社員に感謝し、引き際を考えます。事業承継を⽴ち⽌まって考える為の良書です。 


令和5年11月号 『9割の会社は⼈材育成で決まる!』 ⼩⼭政彦著 中経出版刊

⼩⼭⽒は船井総研の社⻑だった⽅です。もしかしたら以前紹介したかもしれません。今まさに⼈材不⾜の中、⼈材育成の重要性が問われています。この課題は今に始まったことではありません。この書も10年前に書かれたものです。改めて読み直したのですが、社⻑に求められるのは「社員が育つ環境をつくる事」だと解きます。「社員が育つか育たないかは9割以上、社⻑で決まる」のです。⼤切な社員を預かっているのです。だからこそ社⻑は「時代の流れをつかむ」必要があります。社員に「⽬標を持て」と⾔いつつ、社⻑⾃⾝は「⽬標や理念」を持っていますか?考え⽅と共に具体的な取り組み⽅も紹介してある良書です。


令和5年10月号 『貞観政要』 出⼝治明著 ⾓川新書刊

「中国古典に学ぶ世界最⾼のリーダー論」と副題がつけられています。「じょうがんせいよう」と読みます。著者は⽴命館アジヤ太平洋⼤学の学⻑です。中国唐の2代皇帝太宗・李世⺠の⾔⾏録です。6世紀に書かれ、北条政⼦や明治天皇などこの書で帝王学を学んだとされています。著者が分かりやすく意訳しながら解説を加えて紹介しています。経営者のみならず組織にかかわる⼈にとって、理想のリーダーとは何かを考えるヒント満載のまさに古典の必読書、読み応えある座右の書です。


令和5年9月号 『70歳、⼈⽣はもっと楽しくなる』 鎌⽥ 實著 ⼤和書房刊 

私も70歳を超えて、なんとなく⼈⽣を考えるようになってきました。医者である鎌⽥⽒は⽣き⽅に関する多くの書を著しておられますが、“70 歳”“もっと楽しくなる”という⽂⾔に興味を引かれ読んでみました。「遊⾏」が⼈⽣を輝かせてくれる、と説いています。「遊⾏」とはあるがままに⽣きるということです。⾃分勝⼿にすると⾔うことではありません、何か⽬標を持って「死にものぐるい」で「ばかになって」⽣きたときに⾃然と物事が整い、⾵向きや⼈⽣が変わりだすのです。70 歳からだこそやりたい内なる声を実現していきたいものです。⽣き⽅・考え⽅を⾒直すことが出来る内容です。 


令和5年8月号 『叱って感謝される⼈逆切れされる⼈』 ⽥北百樹⼦著 PHP刊 

叱られたことなく過保護で育てられた「シュガー社員」に対してどう対応していくか悩む経営者も多いと思います。「パワハラ」という⾔葉と「ほめて育てる」という⾔葉が独り歩きして叱りにくいという⾵潮もあります。勘違いしてはいけません、ほめるだけでは⼈は成⻑しないのです。「注意しない」「叱らない」は本当にその⼈のことの成⻑を思っていない証でもあります。成⻑を願うからこそ「叱る」ことが必要なのです。どういう場⾯でどういうしかり⽅をすべきなのか、多く場⾯を経験し解決の実践をしてきた著者がわかりやすく述べています。部下を、社員を正しい⽅向に導き、あの時に叱ってくれてよかったと思われる経営者・上司でありたいものです。


令和5年7月号 『リーダーシップ・サイクル』 ノール・M・ティシー著 東洋経済新報社刊 

著者はアメリカのリーダーシップ研究の第⼀⼈者であり、G・Eのジャック・ウェルチの⽀援にもあたってきました。企業にとって社⻑のリーダーシップで勝利できるかそうでないかが決まります。ではどこに重点を置くべきかですが、勝利する組織は教育する組織であると⾔っています。つまり、全員が教えあい、全員が学びあう組織です。そして、勝利する組織の核をなすのは良循環な教育である。⼈間同⼠の意⾒のやり取りから知識が⽣まれ皆がお互いに賢くなると説いています。企業は良質な⼈で成⻑していきます。そのような組織を作り上げるリーダーシップが必要なのです。 


令和5年6月号 『⾃分のことは話すな』 吉原珠央著 幻冬舎刊

会話によって仕事や⼈間関係は変わってくるかもしれません。良い⽅向に進めることができるし、悪い⽅向に進めてしまうこともあります。年を重ねるごとに少ししゃべりすぎることもありがちです。その会話で⼈間関係を良くするために最も⼤切なことは「⾃分のこと」ではなく「相⼿のこと」を話すということだと著者は説きます。⼈間関係を劇的に良くする会話の技術を会得できるかもしれません。しゃべりすぎかなと思っている⽅、会話が苦⼿でどうしてつなぐか気にしている⽅、会話をもっと楽しくしたい⽅に役に⽴つ内容だと思います。


令和5年5月号 『後継者不在、M&Aもうまくいかないときに』 ⻘⼭財産ネットワークス著 ⽇刊⼯業新聞社刊 

事業の承継が喫緊の課題である企業が増えてきました。⼤きな悩みの⼀つになっているかと思います。後継者がいるいない、従業員の有無、家族環境等々その事情は⼀律ではありません。従ってM&Aが正解というわけではなく、事業の円滑な廃業が正解のときもある訳です。私たちもそのお⼿伝いをしていますが、我々が、経営者の⼈⽣にかかわることでもあるのですから、ああしましょうこうしましょうと積極的に進路を決める事柄でもありません。そうこうするうちに時間だけが過ぎていくものです。事業承継を考えるうえで、やるべきことを整理するために必要なことがわかりやすく事例をもって説明してあります。まずは経営者の⽅がどういう道を選択すべきなのか、参考にしていただくには格好の内容かと思います。 


令和5年4月号 『ドラッカーに学ぶニッチ戦略の教科書』 藤屋伸⼆著 ダイレクト出版刊 

著者はドラッカー戦略の⼀⼈者の⼀⼈です。ニッチ戦略とは成功しても⽬⽴たない、名より実を取る戦略です。⼤企業・中堅企業を相⼿にした⽣存競争に⽴ち向かうのではなく、⾃社が充分に⾷っていける中⼩零細企業ならではの分野で稼ぐのです。差別化戦略は競争です、ニッチ戦略は独⾃化です。独⾃化は競争しない世界です。⾔い換えれば⼤企業にとって魅⼒の無い市場規模であればいいのです。具体的にどのようにしてそれを⾒つけていくか、を体系的にわかり易く解説してあります。変化の時代にどう⽣き残っていくか、悩める経営者にとって何かヒントがもらえる内容だと思います。 


令和5年3月号 『もう⼀つの幸せ論』 ⼩林正観著 ダイヤモンド社刊

社会学者である著者は多くの⼈⽣論を著しており、その⾔葉に⽿を傾ける⽅も多くいます。「努⼒」+「がんばり」+「必死」だけでは⼈⽣はうまくいかない。それにプラスして「感謝」があればうまくいくと⾔います。ではがんばらずに「感謝」だけで⼈⽣はうまくいくのか、そのことを著者は20年間実践をしたそうです。結果はうまくいったのです。努⼒やがんばりだけで⼈⽣がスムーズに流れていくわけではないのです。⼈は⼀⼈では⽣きてはいけない事がわかっていれば「謙虚」になれます。「感謝の⼼」を「⾏動」として⽣活に取り込んでいくことが「幸せ」を呼び込むのです。すべての出来事を幸せに感じて良き仲間に囲まれ、「喜ばれる存在」になる、これが「幸せの本質」なのです。不平不満が薄れる本です。経営者にもおすすめです。 


令和5年2月号 『伸びる会社はこれをやらない』 安藤広⼤著 すばる舎刊

著者は株式会社識学の社⻑です。識学は最近⽿にする⾔葉です。経営にとって、⼈をまとめ組織を良い⽅向に進めるためにはどうすればいいかは最⼤の課題と⾔っても過⾔ではありません。よく「頑張っている姿をほめる」ことがモチベーションを上げる⽅法だと説かれますが、識学の理論では「ほめてはいけない」と⾔います。「頑張っている姿」ではなく「求められている結果」を正しく評価することが⼤事だというわけです。なぜなら仕事による給与はすべてお客様の評価で得られるものだからです。よく使われる「協⼒」「連携」ということも「無責任」や「⾔い訳」の温床になりがちだそうです。そこに必ず「責任者」が必要ですし、「具体的達成⽬標」の明確化が必要なのです。組織活性化理論として考えさせられる内容で参考になります。