| 令和3年12月号 | 経営課題を明確にすることの重要性 |
| 令和3年11月号 | 会計のことがわからないのは致命的 |
| 令和3年10月号 | 他人事ではないESG |
| 令和3年9月号 | 景気変動による変化ではない |
| 令和3年8月号 | 今取り組むべき優先順位 |
| 令和3年7月号 | ザイオンス効果 |
| 令和3年6月号 | 離職率の高さはよくない? |
| 令和3年5月号 | 中小企業の淘汰の時代へ突入か? |
| 令和3年4月号 | 補助金情報をお届けします |
今年も残る一月を切りました。個人として、この一年の反省と、くる年と未来に向かっての目標を考えてみる方は多いと思います。個人にはそれは必ずしも必要とはいえないかもしれませんが、少なくとも企業には目指す目標を実現するための計画は不可欠です。目標がないものに計画はない。計画がないものに行動はない。行動がないものに成果はない。そして、成果の後の反省がないものには新たな目標は生まれない。と何かの書で語ってありました。
経営課題つまり目標を明確にすることは大切です。その課題に向かって何を競っているのかと言えば「目標に達成する時間」を競っているということになります。いついつ迄に達成することがなければそれは目標にはなりません。
目標には「数字に意味を持たせる」ことが大切です。意味があるからこそ動く理由になり、それが原動力で目標を達成しようと頑張れます。目標数値はいわば「ノルマ」です。私達は普段の生活でも無意識にああしようこうしようとノルマをつくって活動しています。そして、私達にとってノルマは原動力でノルマが満たされてしまうと動く理由がなくなってしまいがちです。したがって、自分(会社)のノルマを課していくことはポイントです。
日本の中小企業の黒字は30%なのですが、計画し予実管理をしている場合の黒字は60%という統計があります。
あらゆる機会で言い続けていることですが、経営の継続の為には「会計で会社を強くする」という意識を強く持つことが大切です。これは今に始まったことではありません。松下幸之助も、稲盛和夫も、そして多くの名経営者は例外なく会計の重要性を説いています。会計のことがわからない経営者には経営はできないといっても過言ではありません。会計の基本的な理解は経営の基本であり会計がわからないのは経営にとって致命的なのです。
毎月の事業成果のデータである試算表を早く把握するために努力をしない。ましてや毎月の試算表を見ない。会計を経営の後順位に置く。損益計算書の見方、貸借対照表の見方がわからない。もしかして、いまだにこういう状態であるとすれば大きな問題です。
なぜ会計は経営にとって重要なのでしょうか。一言で言えば会計は経営成績を示すデータだからです。経営の状況は会計でしかわからないからです。そのデータ無くして経営を進められるはずがありません。毎月の経営状況を示す月次の損益計算書と貸借対照表(これを試算表と言います)には経営情報が凝縮されています。これを見れば我が社のどこに問題があるのか、どこが優れているのか、資金繰りは大丈夫か等一目瞭然です。
試算表は過去の経営情報なのですが、傾向を見たり、課題を把握することで、将来を見通すことができます。近い将来の資金繰りも把握することができます。この基本データがなければ経営計画も立てられないのです。会計の重要性を優先順位の一番にして、早い情報を把握し、活用することが経営を強くしていくことは身をもって体験しています。経験上、これをないがしろにしている経営は100%行き詰る方向に進むといっても過言ではありません。ポストコロナ対応の為、今一度財務の大切さを認識し、活用していきましょう。
近年、企業の情報開示において、財政状態、経営成績といった財務情報に加えてESG(環境・社会・ガバナンス)情報といった目に見えない非財務情報の重要性が世界的に高まっています。大企業を中心とした国内外の企業は、各種媒体を通じて非財務情報の開示に取り組んでいます。質の高い非財務情報の開示を実現する指針のあるべき方向性の検討、研究が進められています。
簡単に言えば、例えば脱炭素に向けての取り組みをどうしているのかを企業情報として開示しようというものです。これら会計数字以外のいわゆる非財務情報の開示は大企業に求められることであり、中小企業には関係ないだろうと思いがちですが、そうも言ってはおられません。なぜなら、自社の外注先も含めたトータルでの取り組みの開示が求められるからです。特に大企業との取引をしているところは、対応を迫られることになります。中小零細企業も安閑としてはおれないのです。環境やガバナンスにしつかりと対応できていない事業所には外注には出さないとなってきているのです。財務面も含め法令順守のしつかりとした会社作りが求められてきます。金融機関も、脱炭素取り組みに無頓着な会社には融資しないという時代が目の前に来ているのです。
経済に景気循環は確かにありますが、経営にあたっては、その考えを持ち込むのは変える必要があります。「今はどん底だけど、いずれ景気がよくなるので、その時に備えしつかりやっていこう」ある意味正しいかもしれませんが、それは、これまでの考えであり、今はこの考えから脱却すべきです。特にこれまで好景気の循環の中で経営をしてきた経営者は注意すべきだと思います。「市場構造の変化」を、これまで通り「景気変動による変化」と見誤ってはいけないのです。あなたの企業の不振の原因は、景気変動によるものではない可能性が高いのです。
企業にとって一番大切なことは持続的な成長です。企業の持続的な成長に必要なことは何なのかを、よくよく考えてみましょう。
企業経営を危うくする要因は
1.外部環境の変化に対応できないでいる。仕事のやりかたを変えられないでいる。
2.内部業務が複雑化している。人数が増えると組織が複雑になり、意思決定も遅くなる。
3.属人性に頼っている。能力の高い人に頼りすぎており、その後継がいない。
4.計画性のない経営をしている。自社の分析と課題がなく、ピジョンが目標設定ができていない。
これらの課題に全体的に対応するのは、トップのリーダーシップです。1は、リーダーの役割でしょう。2は組織マネジメントを見直す必要があります。3は人材育成に力を入れるべきでしょう。これらの課題が見つかればおのずと4の計画は策定されなければならないはずです。
大切なのは、自分たちは何のために存在しているのか、自分たちにできることは何なのか、それを明確にして、常に顧客にどういう価値を提供したいのかを考えていく必要があるということです。
コロナ対策資金の導入による効果で、企業の資金繰り悪化による倒産は思ったほど増えていないという状況の様です。しかし、恨本解決にはなっていないのですから、実態は決して良好とはいえません。コロナ資金返済が始まった時に、じわりじわりと多くの企業に影響を及ぼしてくるでしょう。一方政府の経済対策もあり、景気の上昇も多いにあり得ます。そこでどう対応していくかが問われます。
これまで第一優先順位で取り組んできたことは、資金を確保するということでした。当事務所としても、将来不安も考え6カ月分程度の固定経費をまかなえるようにと、多くの企業の短期資金の底上げの支援をしてきたところです。
次の優先順位は、当然のことですが、いかに返済をしていくかということです。借入返済の財源は利益(減価償却前利益)しかありません。返済が始まれば、「既存借り入れ返済+コロナ対策借入の返済」と、返済額は増えます。その分利益を余計に確保しなければなりません。利益の増加が今後のポイントになるということです。いかに早く、事業を軌道に乗せ、コロナ以前以上の利益を出すか、工夫をしていかなければなりません。非常に厳しい取り組みが求められます。そこで、よりシビアーな事業計画が必須です。自社の強み弱みを分析し、あらゆる知恵を絞って戦略を立て、より具体的な行動計画とその一刻も早い実践が求められます。景気回復時の波に乗るためにも、わが社の経営をどういう方向に進めるか、具体的に考えていきましょう。資金がある内にです。
ザイオンス効果とは、アメリカの心理学者ロバート・ザイオンスが提唱した心理効果で、別名「単純接触効果」とも呼ばれています。これは、相手と繰り返し接触をすることにより、だんだんと好感度や親密度が高まるという効果のことです。マーケティング施策に応用されます。例えば、コマーシャルや広告なども何度も目にすることによって、この効果により好感度を引き出すことになります。営業活動でも、この効果を意識して会う回数を増やせば、お客さまに気に入っていただける可能性が高まります。その結果、成約にいたる確率が高くなるということです。最初は興味・関心のなかったモノや人物でも、頻繁に目にしたり接する機会が増えることにより、だんだんと良い印象を持つようになるという経験は何となく理解できます。
ランチェスター戦略の中にある販売力は接触量(訪問件数の2乗×滞在時間)で決まる、に通じるものがあります。この効果を営業やマーケティングなどに利用することは有効な戦略ですので、参考にしてみてください。
日経新聞4月27日号に住友商事の20歳代の管理職抜擢制度の導入を決めたとの報道がありました。若い人のキャリア感は着実に変化し、企業側の対応も変化しています。一般的に離職率が高いことは良くないという認識があります。しかし、一概に良くないことと言い切れないようです。現在、全体平均離職率が15%前後なのに対し、新卒入社の従業員の3年目までの離職率は30%を超えており、人材の流動性がさらに活発化しています。人気企業の定着率が高いかといえばそうでもないのです。もはや、定着率の良さは過去のことではないでしょうか。
離職率を上げる要因には、確率的な側面をもつ場合もあります。新規事業を立ち上げる企業の人事では、新分野であるが故に対応できない社員もある程度増えるのはやむを得ないでしょう。その企業にとって必要でかつ従業員にとっても活躍したいと思う人が残るのがお互いの為でもあります。ただし、10年間は下積みという価値観は今や通用しません。また、近年の顕著な傾向としでネガティブな側面がなくても、より自分らしい慟き方を求めて転職に踏み切る労働者が増えているといわれています。
企業側・経営者としては、価値観や理念の共有ができるかどうかが大切になってくるのではないでしょうか。そのためにしっかりとした経営戦略、経営理念、そしてそれに沿った成長をもたらず待遇を含めた人事戦略が必要になってきます。少なくともその人の成長と企業の成長につながる離職であって欲しいものです。
コロナ禍で資金繰りに困窮する中小企業には、持続化給付金という資金支援がありました。次の策として出て来たのが事業再構築補助金です。1兆余りの予算規模から非常に注目されている補助金です。基本は新しい事業へ前向きに取り組む為の設備投資を支援する補助金であり、コロナ禍によりダメージを受けた企業で新しいチャレンジにより事業の再構築を図る事業者が対象です。持続化給付金とは趣旨が違い、誰でも利用できる制度ではなく、かなり高いハードルが設けられています。またこの補助金は、自己負担を抑えながら事業転換はできるといっても、1/3は自己資金を要し、採択してからほぼ1年後に資金が提供されるので、その間の資金繰りは自前あるいは金融機関からの支援で行う必要があります。つまり資金繰り困窮企業にはかなり難題なのです。また、事業計画書の作成だけではなく、補助金を採択された後も実績報告等の事務コストが発生します。
最も難題は、補助金の対象は「新分野展開」や「業態転換」、「事業・業種転換」など、会社の命運を賭けておこなう事業の見直しだということです。多額であればあるほど、これはそう簡単にできるものではなく、経営者の強い覚悟と、実現可能な事業計画、補助金に関する正しい理解と徹底した進捗管理が必要です。場合によっては返還を求められるというリスクもあります。
こうしてみると、体力ある企業しか支援しないという中小企業の淘汰再編に向けた取り組みが始まったと考えるべきであり、これが加速していくであろうことが見えます。生産性の低い企業の延命には終止符が打たれる可能性が強いのです。まず今の事業を軸に違った展間ができないかを真剣に考えていきましょう。
平成24年8月に中小企業等経営強化法に準じて中小企業に対して専門性の高い支援事業を行う経営革新等支援機関を認定する制度が創設されています。認定制度は、税務、金融及び企業財務に関する専門的知識や支援に係る実務経験が一定レベル以上の中小企業支援機関等を経営革新等支援機関として認定することにより、中小企業に対して専門性の高い支援を行うための体制を整備するものです。当事務所は施行当初より認定を受け顧問先様のご支援を続けて参りました。
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アフターコロナ禍対策で、政府は様々な補助金を設けています。主要なものには「事業再構築補助金」、「ものづくり補助金」や「持続化補助金」があり、予算規模をアップして継続されています。
国や自治体からの支援策について、我が社に当てはまるものはないかチェックしましょう。補助金に関する実際のご相談等には当事務所が対応致します。