令和5年12月号 | 利益に強く焦点を当てましょう |
令和5年11月号 | ツキのある人とつきあう |
令和5年10月号 | 債務償還年数について |
令和5年9月号 | 経営者の価値観 |
令和5年8月号 | 今後の中小企業に求められる金融機関との関係性 |
令和5年7月号 | 大切な戦略計画 |
令和5年6月号 | これだけは頭に入れておきたい決算書の数値 |
令和5年5月号 | 借入をするにあたって |
令和5年4月号 | 目指す自己資本比率とは |
令和5年3月号 | 節税の勘違い 税金を少なくすることが本当に得なのか? |
令和5年2月号 | 積極投資も必要 ただし計画的に |
売上に焦点を当てる時代は終わっています。利益に焦点を当てましょう。まず対策すべきは売りの値段を上げることです。 値段を上げるとお客様数が減るかもしれません。しかし10%値上げして、5%のお客様が減ったとしたら売上はどうなるでしょう?利益はどうなるでしょう。いろいろ考えて自社で計算してみてください。決して利益は思った様には落ちないのです。売上よりも利益により強<焦点を当てこだわるべきです。売上げにこだわる経堂者は赤字でも売ろうとします。実はそのような経営は、高度成長期の亡霊が付きまとっているのです。 薄利であるが故に多くの量を売らなければなりません。 量が多いと作業量は増えます。そのため従業員は残業続きです。利益が上がりにくいので給与も上がりません。いい仕車ができるはずがありません。 そのうちいやになって辞めていきます。この時代、不足の人手は補充困難です。 この悪循匹に陥ります。 値上げすると売れなくなるのではという発想は捨てましょう。ではどういう戦略を立てるべきか、売上の質を高めることです。 商品の付加価値を高め、わが社ならではの価値で非競争の環境を創り出すことです。なぜわが社の商品を求めておられるのかを突き詰めて考えてみましょう。そこに創意工夫も生まれてきます。時間的余裕があって始めて従業員さんの接遇も良くなりますし、発想も豊かになります。顧客のニーズに、貧社だけが応える事ができます。そこに単価引き上げの理屈が成り立ちます。そうすることで特徴ある商品やサービスを高評価した新しい顧客が増え、結果的に増収増益をもたらすことになるでしょう。いい循環が創り上げられていきます。
船井総研創始者の船井幸雄氏は松下幸之助に言われた言葉を著書に書いています。「私の経験から言うのだが、人とつきあうときは、ツキのある人とつきあいなさい。ついてない人間とはなるべくつきあわない方が良い」 (『つきを呼び込む自己改造法』より) 世の中には、なぜか運のいい人が存在します。こんな人がいませんか。チャンスに恵まれ、仕事で大きな結果を出している。良い人に巡り会い、良好な人間関係を構築している。いつも元気だ。逆になぜかうまくいかないツキのない人がいます。もし自分にツキがないと思ったらツキのない人間とつきあっている可能性があるのです。『類は類を呼ぶ』と言います。ツキのある人はプラス発想で肯定思考のできる人です。暖かく心優しい人です。人間性に富んだ人々です。正しい生き方をしている人です。 あなたの周りのツイてる人はそういう人ではないでしょうか。「あの人は運がいいな。羨ましい」と目分と比べて、ねたんだり恨んだりするのではなく、積極的に近づいて仲良くなりましょう。運のいい人は、やはり運がよくなるような考え方や行動があるから、運がよくなっています。運のいい人と接すれば、その人を通して、運がよくなる行動や考え方を自然に吸収するようになります。吸収して真似をすれば、いずれあなたも運をよくする方法を体現できるようになります。また運のいい人には、やはり運のいい人が集まる傾向があります。お互いに助け合うので、ますます運がよくなり、人生が向上します。ツキのない人とのつきあいはほどほどにして、運のいい人と付き合うのが、成功するコツなのです。
債務償還年数とは、何年で借入を返済できるのかを示す数字です。経営者はこの年数を知っておくべきです。銀行は、融資をしている貴社の債務償還年数を随時チェックしています。次なる経堂判断をするために、経営者は債務償還年数を計算してみて、目安と比べることが必要です。また、実際に銀行に借り入れを申し込むときにも何年払いするのかを交渉する際にも必要です。
一般的な計算の方法は、(長期借入+短期借入)/(年間キャッシュフロー)です。年間キャッシュフロー=税引後利益+減価償却費です。借入金から必要運転資金分を差し引く考え方もあります。銀行によって多少考え方が異なります。事業の特性などを考慮して計算式を使い分けることになります。債務償還年数は、返済できる能力を示す目安です。借入を実際に返済する期間ではありません。債務償還年数の目安は所要資金によって異なります。 一般的には運転資金5~7年、設備資金10~15年内です。総合的に見て15年を超えると厳しいと見られています。借入の期間はこれを目安に設定されます。当然ですが、債務償還年数が長い→リスクが高い 債務償還年数が短い→優良(=追加の融資にも応じやすくなる)です。
銀行の方とも、お話をしている中でまだまだ「借入が一定期間で返済できるだけのキャッシュフローがないといけない」という概念が、前提となっていることが大半です。コロナ融資により増大した企業の借入、赤字が増大した状況からすると、債務償還年数を恨拠とした評価では「貸せる企業など存在しない」ことになります。しかし、企業業側としては債務償還年数が未達でも、今後の成長性を認められるように改善計画をしていく ことが大切です。
社長が変身すれば会社の業績はよくなると言われます。また社長の器以上には会社は伸びないとも言われています。残念ながらおおかたその通りのようです。社長の成長とともに企業も成長するということでしょう。ということは、まず社長は自分自身の考え方、行動を先に変えて企業を成長発展させるという意識が必要なのではないでしょうか。その時大切なことはそれぞれの経営者のタイプ、人生の価値観があるわけですから、企業をどういうタイプの会社にしていくのかということがとても大切だと思います。すばらしいと思う経営者に学ぶことは大切なのですが、そのまねをすればよいというわけでもありません。そもそも土台がちがいますし、過去の学び方、経験も違うのですからのですから、主体性なくあの人もこうだからというものまねでは失敗の確率が高くなります。タイプ別に考えるとすれば、
1.家業生業型タイプ。ある意味で豊かに生きるならこのタイプがいいでしょう。一番多いのがこのタイプだと思います。家族経営に徹することがポイントです。
2.従業員10人前後の法人タイプ。堅実経営と資金繰り中心の経営が必要です。従業員の生活向上優先の経営が事業をのばすポイントとなります。社長の見栄など考える暇と時間はないでしょう。赤字をださずに少なくとも5年続けられれば、そこから次のステップを考えればいいでしょう。ここまでくれば後は企業家を目指すかどうかは社長の考え方ひとつです。
金融庁監督局長 伊藤 豊氏の講演を聴く機会がありましたので、参考にしてお話しします。
企業経営に資金は絶対に必要です。経営の環境も変化するので、潤沢な資金を保持しているのなら別ですが、金融機関からの借入れを要することが日常です。そのために金融機関との関係性をよくしておくことも必要です。同時にどの金融機関をメインバンクとすべきか事業の規模等によって検討しておくことも必要です。いま金融庁はメインパンク制による総合的な支援を推進する事業成長担保権という制度の検討中であることも念頭に入れておきましょう。
地方銀行は地域の中小企業と長期的に携わりながら、お互いにWinWinな関係を築いていく ことで共に生き残る道を模索していくべきでしょうが、 もっぱら不合理な手数料ビジネスに傾注していないか、事業の成長を本気で願い取り組んでいる金融機関なのかどうかを見極めていきましょう。
いずれにしても金融庁は金融機関には企業の評価を 「会計資料という数値面」のみならず 「事業の足元の状況」 「運営方針」 「改善行動」といった数値のみでは測れないポイントでも評価することを求めています。そして、赤字でも債務超過でも、債務償還年数が未達でも、今後の成長性を認められる企業に対して支援がなされていく でしょう。そのためにも将来ビジョンを設定し、我が社にとって信頼を置くことのできると思うメインバンクと日頃から情報交換を密にして関係性を良くすることに力を入れていく必要があります。
事業計画には予算計画と戦略計画の両方が必要です。どんなに小さな会社でも予算計画は必要です。
ただ予算計画と共に必要なのが、いわゆる戦略計画です。つまりどのように具体的に実現するのかという行動計画です。最も重要なのは数値計画の_番上の項目である「売上」をどう作っていくかということです。これを実現するためには売上の要困項目を分解して考えるとよいでしょう。
つまり、 売上の要因を、何人のお客様に(客数)いくらの商品を(単価)どのくらいの頻度で(購買頻度)で購入していただくかに分解して考えます。それに加えてどのようなお客様にという戦略を加えます。
そこで終わるのではなく、もっと具体的にしていきます。 いくらの販売費用をかけ、いつ、誰に、どのような方法でアピールしていくかを計画にしなければなりません。しかもそれを誰がするのかも大切です。 この行動計画を作成することで、 経営者や従業員がその目標の達成のために具体的に何をすれば良いのかを把握することができます。 そして、それを実行し、できているかできていないかを検証していくことによって、会社の目標は絵に描いた餅にはならずに済むのです。
経営者としては我が社の変動損益計算の概略を頭の中に把握しておくことがとても大切です。自社の( )を概算でいいですので埋めてみてください。 すらすらと出てくれば、数字を考えた経営ができています。
①我が社の限界利益額は 年間 約 ( )千円である。
②我が社の限界利益率は ( )%である。 *同業他社の限界利益率は ( )%である。
③我が社の限界利益率は当期 ( )% 前期( )%である。
従って A.良くなってきている。 B.悪くなってきている。 C.横ばいである
④我が社の売上があってもなくてもかかる固定賀は( )千円である。
⑤この固定費を限界利益で稼がないと赤字になるが、
我が社の固定費は( )千円で、限界利益額は( )千円だから
A.まかなっている。 B.まかなわれていない。
⑥我が社の損益分岐点売上は( )千円である。
*損益分岐点売上 = 固定費 ( )千円 ÷ 限界利益率( )%で求められる。
⑦我が社の借入金の年間返済額は( )千円である。
⑧我が社が確保している借入金返済可能額は( )千円である。
従って返済額を A.まかなえている B.まかなえていない。
*返済可能額は 税引き後利益+減価償却費 で求められます。
コロナ後の経済活動の活性化に伴い、コロナ資金の返済の猶予を求める場合もあれば、新しい取り組みに積極的に投資をしていく場合もあります。売上げの増加で運転資金の需要も高まります。そこで、金融機関に返済猶予や新規の新規を申し込む訳ですが、その審査は返済可能性を見抜くことに重点が置かれます。 つまりは収益力改善の要困を見抜くことを大切にするわけです。現在の財務諸表に現れる数字だけで判断するのではなく、改善計画や事業計画でもってその実現性と、どれだけ利益を残せるかが勝負であり、今赤字でもそれが戦略的なものかの評価を見極めることになります。また計画後はその行動計画の実行がなされているのかどうかも評価されます。
融資を申込み時のチェックポイントがあります。
1.資金使途 調達したお金の使い道
2.借入金額 いくら調達したいのか、自己資金はいくらなのか
3.返済原資 返済していけるキャッシュが確保できるのか
4.財務状況の健全性 利益は出ているのか、債務超過なのか等
5.返済計画を含めた事業計画の実現可能性といったところは基本です。これは返済の猶予をお願いする場合も同様です。
そして、肝心なのは税理士事務所のフォロー説明があったとしても、その内容を社長本人がしつかり理解納得して、金融機関に対し資料の説明を行うことができるかが重要です。
自己資本比率とは、返済(支払)不要の調達資金が全体の何%あるかを示す数値です。自己資本 ÷ 総資本(自己資本+他人資本)の式で算出します。貸借対照表の左側には現金預金や売掛金・棚卸負産・建物 ・機械・車等の資産が書いてあります。右側には買掛金・借入金等の支払うべきである負債が書いてあります。 そして右下に自己資本の金額が書いてあります。自己資本というのは、 左側の総資産と右側の負債の差額です。言い換えれば、会社の資産を全部売り払って負債を払ったらいくら残るのか?と言うことです。その残る金額が自己資本 (純資産ともいいます)です。当然資産よりも負債が少なければ少ないほど自己資本は大きくなります。逆に負債の方が多いと自己資本比率は△になります。この状態は債務超過状態と言い、決してあってはなりません。
自己資本比率は大きいほどいいわけです。会社の目標を一点だけどこに置くかとなれば、この自己資本の増強以外にないと思います。この目標を立てて経営を進めれば、会社は安全に継続できます。是非、これを何年後に何%にするかの目標を定めて下さい。日本の企業の平均は30%です。つまり30%以下はまだまだ並の会社にはなっていないと言うことです。50%を超えると実質無借金になり、びくともしない会社になります。どうすれば増えるか?自己資本は利益の累積ですから、利益を上げるしか方法はありません。こつこつと。
資金繰りを考えない節税はナンセンスです。未だにこの勘違いがあるようです。例えば500万円の利益が出て、約20%の100万円の税金を払いたくないとします。その為には経黄を使わなければなりません。500万円使えば利益は0で、税金は0円。見事な節税です。さて、残ったお金はどうなったでしょう。0円です。一方税金を払うと400万円残ります。経堂者のあなたは400万円持っているのと、0円とどちらを選択すべきでしょうか? これが何年も続くと、とんでもない差がつくのです。企業には浮き沈みがつきものです。絶対に順調というわけにはいきません。大きなチャンスもあります。ピンチでもチャンスでもその時必要なのは資金なのです。無計画な経費ほど無駄なものはありません。 無計画に漠然と利益が出たので税金がもったいないから使おうはとんだ勘違いです。節税のための出費ではなく、出費が桔果的に節税につながるという考え方を取りましょう。 将来に役立つお金に使いましょう。たとえば、保険もその一つ、リスクに備えることは頁っ先にしなければならないことです。
節税は将来のためと資金繰りを悪化させないことが前提です。また企業の外部にお金を出さないで経費にする方法が有効です。少なくともそれに近い方法があります。経堂者を含めたそこに慟く人のために使うということです。がんばる従業員さんに適切に還元しましょう。あくまで適切にです。中小企業にとって節税対策は会社を維持するために大車なことですが、節税対策のつもりが無駄にお金を使ってしまっているケースもあります。 節税を求めるあまり、節税貧乏になってしまっては本末転倒です。
ビジネスにおいて、投資を維続拡大しない限り事業は継続できないし、また大きくなりません。お金を使うという意味では浪費も消費も投資も同じことですが、投資はそのことによってリターンがあるかどうかの違いです。投資は、そのお金の使い道に対して費用対効果を測定することができます。
投資には設備投黄もあるし人材投資やマーケティング投資もあります。それらの投資をしていかなければ継続成長できないのですから、それをだらだらと引き延ばしするのは危険です。資金が不足なら借入れも必要になります。ただし借入れをしたとしてもそれ以上にリターンが得られる投資であるべきです。特に今日、人手不足の課題解決の投資はどう考えても必要です。機械化のための設備投資、新規採用の投資、スキルアップのための教育投資、そして必要な人材であれば適正評価をして給与のアップも必要でしょう。優れた人財は、会社に大きな収益をもたらしてくれるのです。
こうした投資に不安を感じ、行動を躊躇するのは投資後の不安からくるものです。果たしてその投資をした時に、資金は大丈夫なのか、失敗してしまった時に、お金が回らなくなるのではないかという不安です。このような不安を払しょくし、投資行動を決断するために、必要なのが数値計画とそれを実現する行動計画なのです。 行動とお金の動きは連動します。そして、将来の貸借対照表と損益計算書とキャッシュフロー計算書を作ります。それによって、借入れをした時、マーケティングに投資をした時、従業員を雇用した時、給与をアップした時、お金の流れがどうなるかを見える化できます。計画は、ビジョンをどのように実現していくのかを具体的に見える形にすることです。計画により安心して行動できるのです。安心は力強い行動につながるのです。